節分

この数日前、神楽仲間から「喜多見氷川神社の神楽の伝承が危ういので相談にのってやってくれませんか」と連絡あり。
急きょ連絡を取り合って当日見に行くことにした。こういうことは上島さんの経験と実績が助けになってくれるなと思い声をかけたら快く引き受けてくれて、早朝二人で成城学園前駅に。

神社のあるあたりは「世田谷のチベット」とか呼ばれているらしくアクセスが悪いので、今回SOSをくれたKさんに迎えに来てもらい神社へ。

神社は立派なもので、もう人がけっこう集まっており、準備も進んでいて、立派な祭りが始まる感じである。
まず猿田彦を先導に恵比寿、大黒などが神社の周りを歩いて境内の「祓い戸」まで行く「お練り」。笛と太鼓が付いて「いい感じ」である。祓い戸で神事をした後、福豆が配られて作法を教えられ豆まきへ。

豆まきを始めると4人の鬼が舞台へ出てきて、神職と問答となる。赤、青、白、黒の四方に対応した四色の鬼で疫神のようだが、「腹ぺこだ、腹ぺこだ!」と騒いだ後「スルメを与えるから山へ帰れ」と追い出される。
舞台から降りた鬼たちは、近所の小学校二校の三年生や集まってきた近隣の人たちから豆を蒔かれて退散。

その後はもどきもからんだ恵比寿舞、大黒舞があり、大黒の打ち出の小槌からは五円玉の財宝が撒かれた。

江戸の祭りには詳しくないが、上島さんによればお囃子は里神楽のしっかりしたもので、レベルも高く、まるで心配はない。笛と太鼓を知っている「先生」がひとりでがんばっていて、後継が育たっていないことをKさんは気にしているのだが、「もっと危うい祭りはいっぱいありますよ」と上島さんとふたりで説得。安心していいからと励まし、いろいろ思いついたことなどを話した。

節分の豆まきだが、追儺の神事として鬼問答があったりして興味深い祭りだ。鬼が持っていたのが鹿の角をつけた「鹿杖」というのも面白かった。

いやいや、東京にこんなタイプの祭りがあるとは、さすがは世田谷のチベット。このあたりは多摩川河岸段丘だから、縄文からの生活圏だろう。農家もあるし、とび職とか鍛冶屋さんとが祭りを担っているみたいだ。昔は成城あたりは薪を取りに行く山だったんだって(笑)



これからは東京ももっとチェックしなければ。面白い祭りはまだまだあるかもね。