神田明神

前日に国立劇場の獅子舞特集のプログラムに出演をした加藤菊太夫組が神田明神で奉納をしたいということになり、その手伝いへ。
早起きをして9時半に神田明神へ行き、浅草雑芸団上島敏昭さんたちとパイプ椅子を並べたりして奉納の準備。神田明神での奉納を実現させたのは上島さんである。

僕は加藤菊太夫組の韓国公演のコーディネイトを2回やっていて親しくさせてもらっているのだが、上島さんもかつてこの組に入って修行をしたという浅からぬ縁。そのふたりがまた別の縁で出会っているのだから、人の縁というのは面白いものだ。

控え室に挨拶へ行ったら早くも御神酒が回ってきた。
前夜はクーリーズ・クリークのパーティーで、結局けっこう飲んでしまったのだが、寝不足にもかかわらずちゃんと飲めた(笑)

みんなが拝殿で正式参拝をしている間は、道具を置いたところで留守番。一斉メールで東京の知り合いに直前告知をしたのだが、何人か駆けつけてくれて声をかけてくれたり、手を振ってくれたり。
奉納が始まる頃には予想以上にたくさんの人が集まってくれた。

そして獅子舞と放下芸(曲芸)とチャリ(道化)が組み合わされた大神楽が始まり、お客さんたちはビックリしたり笑ったり。

この芸能の特徴をあらためて言うと、基本的にプロなんだけど「メディアを使わず」「劇場や舞台に出ず」に行なうという、今の「芸能」の常識では「ありえない」存在の仕方をしているところである。これは江戸時代から綿々とつながる人々の信仰心をベースとした神事芸能だからあり得る話である。
そして西日本を中心に宗教芸能者として一年中のほとんど、旅を続けている彼らを今の東京の屋外で見ることが出来るのは本当に稀なことなのであったのだ。

1時間ほどの奉納だったが、天気も良く、お客さんも大満足。
告知メールの返信に「残念ながら行けないけどまたの機会に」という返事が多かったが、「またの機会」はうーん、いつになることやら…。ほんとにいろいろ先約があったりして見られなかった人はお気の毒だが、このロケーション、雰囲気での伊勢大神楽は当分東京では無理だろうなあ。

夕方の新幹線で帰るという一行は、そのまま控え室で上島さんはじめ東京の友人たちと御神酒を酌み交わし、また翌日からの旅へ戻って行った。

ちなみに今回も伊勢大神楽研究の第一人者である北川央先生が同行していて、奉納前に解説をしてくれたのだが、先生によればここのところ、海外からの講演依頼が多いとか。二年前に韓国へ来てもらったときは「久しぶりの海外です」と言っていたのが、そのあとからあちこちから呼ばれるようになったようだ。

伊勢大神楽、ちゃんとブレイクしてくれると「またの機会」も近いかも。
僕としてはまた一緒に韓国へ行きたい(笑)

すっかり飲んでしまったので、夜の予定を飛ばして早寝した。