@飯田

micabox2008-11-16

飯田市美術博物館講堂で行われたフォーラムにパネリストとして参加。
主催者は実は飯田のシンガーを飯田から発信させるべくレーベルを立ち上げたという人で民俗芸能とはあまり縁がなかったのに、何故かこんなことにということらしい。
これをバックアップしているのが札幌で80年代にラジオディレクターとして一緒に仕事をした増淵敏之氏。いつのまにか地方文化論みたいなので法政大学の教授になってたんですな。
なんか僕の周りには占い師とか、いつの間にか変身するやつが多い。
で、僕が呼ばれたのは増淵氏直接ではなく、もともと別ルートのお祭りファンの縁がつながってのことなので、世の中何が起きるかわからない。まったく。
FM北海道でかつて一緒におバカな深夜放送「流星通信」を作っていた二人が長野県の飯田で一緒にシンポジウムに出たんだから。

さて、シンポジウムの前には遠山霜月祭りのある上村中学校の生徒による舞が披露される。
この中学校では「郷土の舞」を習うという取り組みが続けられてきて、実際の祭りでも子供たちが舞を舞うプログラムを特別に組み入れているのだが、この中学が今年度で廃校となりこれが最後の舞の披露になるというものだった。
女の子にも正式な演目の舞を舞わせているところが素晴らしい。

今の世の中、女の子も神楽を舞いたいと思うのは当然のことなのだが、女人禁制で舞えないところがほとんど。舞わせてもらえても「浦安の舞」という巫女舞のケースが多い。
この「浦安の舞」は皇紀2600年を祝うために当時の宮内省雅楽のおエラいさんが創作した巫女舞で、全国の神社に「これを練習して奉納するように」とのお達しが出たために、田舎の神社でもやっているところが多いが、実のところは土着の色濃い神楽には「似合わない」舞である。だって音楽はテープで雅楽をかけるんだもん。

さて、この「郷土の舞」の披露だが、上村には何カ所かで祭りが行われており、それぞれの舞を披露したものだから、当然お囃子も地区の人が交代して担当するわけで、その違いがよくわかるのだ。こんなことは後にも先にもこの日だけのことかもしれないというラッキーな出来事だった。

シンポジウム自体は発言者の持ち時間が短く消化不良ではあったが、ま、それはこういうシンポジウムにはよくあることなので仕方がない。これが第一回目なのでこれから実のあるものにしていけばいいだろう。
同じ発言者として参加した大鹿村の歌舞伎の師匠、片桐登さんにお会いできたことや、懇親会でお会いした坂部の冬祭りの長老、関さんや上村中学校の田中先生などにも会う事が出来て良かった。

で、懇親会でビールを飲んでいい気持ちになったところで「三上さんだけはあと一仕事」ということで神楽ビデオジョッキーを会場を変えて行った。7時半から10時くらいまで、酒も飲みながらの会だったが、部屋を暗くしたせいで寝る人も多かったな。
そんな中で大鹿歌舞伎の片桐師匠だけはシャキっとした姿勢で集中して見てくれていた。感激である。

翌日はホテルをチェックアウトしたあと喫茶店を探して一時間さまよう。エリアの問題かもしれないが、あえて言ってしまおう、「飯田の人はコーヒーが嫌いらしい」。一軒あったのだが中が暗いし、扉には「うどん・そば」って書いてあるし、その時は「他にもあるだろう」とパスしたら行けども行けども「ない!!」。バスターミナルの自販機でインスタントコーヒーを飲むはめとなった。
さまよっている途中に立ち寄った長姫(おさふね)神社の手水が温泉だったのにはビックリ。となりに温泉を掘り当てたらしい温泉旅館があったので、そこの奉納なのだろう、よく見たらそこは境内の外だった。

そして「飯田エフエム」というコミュニティーFMとローカルFMの中間のようなラジオ局に呼ばれて少しお話。こういうところはパーソナリティーが祭りのことを知らずにトンチンカンで「一から」説明しなければならないケースが多いのだが、ここではシンポジウムの司会もして、自らも民俗芸能を見て歩いているという人がお相手だったので、話しが弾んだ。
めったにないな、こういうことは。

そして同行のかーすが君と一路遠山へ車を走らせる。遠山中毒の僕たちは飯田まで来たら遠山に寄らずには帰れないのである。
スーパーでミネラルウォーターを大量に仕入れ、いつもの神社の境内に並べてからいつもの蕎麦店「丸西屋」さんへ。月曜は意外と忙しいらしく、満席で蕎麦を待つこと一時間以上。
飯田から電話してとっておいてもらわなかったら蕎麦がなくなっているところだった。なんとか玄蕎麦のもりを一枚ずつゲット。そして天ぷら盛り合わせに大黒屋の豆腐の冷や奴に二度芋の田楽。冷や奴はおかみさん特製のタレが旨い。いろんな香味野菜が醤油につけ込んである。二度芋はジャガイモなんだけど、このあたりは米がとれないので一年に二度収穫するという芋で、小ぶりで日本に入ってきた頃の古い種類だとか。
で、蕎麦が最後だから手持ちぶさたで「てんから」を飲んでしまったではないか。ごめん、運転のかーすが君!!
「てんから」、旨い。

僕の顔を見たおかみさんが「新聞に載っていたから見せようと思ってとっておいたに」と神楽ビデオジョッキーの告知記事が載った「信州日報」を出してきてくれた。おお、たしかに載っている。すんげえローカル誌でなんか感激。一ヶ所神楽が神学と間違っていた。ひょっとしたら記者は「しんがく」で変換したのかもな。そのレベルだよ大新聞でも放送局でも。

さて、丸西屋さんを出たのが3時半、いつもの温泉「かぐらの湯」を出たのが4時半。気が移った水を回収して遠山を出たのが5時頃だったので、帰りがけの地物物産直売店が閉まっていて残念!!しかたがないから飯田で変な酒屋を見つけて酒を買う。
純米の一升瓶が1730円の「信濃鶴」。この値段の純米が旨かったためしはないのだが、店のオヤジが「絶対旨い」と言うので購入。不思議な味でまずくはなかった。TPOがハマると旨い酒かも。かーすが君の買ったもうひとつの酒はこの酒屋が醸造元に作らせたというオリジナルの酒。これについてはまたいずれ。