黒森神楽巡業最終日@北上

早朝の浜松から新幹線を乗り継いで岩手県北上へ。11時46分北上駅着でタクシーでさくらホールへ。ちょうど12時から始まる黒森神楽の舞込みに滑り込みセーフ。
松本さんからは「おお、生きてたのか!w」とからかわれる。最近顔出してなかったからね。
今回の主催は阿部武司さん。午前中には阿部さんの自宅で舞込みや柱噛みがあったようだが、残念ながらそれには間に合えず。
でも、さくらホールの舞込みに間に合ってよかった。この公演が今年の黒森神楽の巡業の最終日。ホール公演だけど、巡業なので宿主は阿部さん。
だからよくあるイベント出演ではないので演目もたっぷりやるとのこと。たのしみたのしみ。



そして今回は三方から見ることが出来るように阿部さんが設定。僕は上手の角に陣取ることが出来て、はじめて囃子方と舞を一緒に画面に収めることが出来た。民家の場合可能なこともあるが、たいていは宿主さんたちの特等席で一般客は囃子方の背中を見ながら神楽を見るのである。





宮古から来た黒森神楽に詳しい教育委員会の假屋さんの解説もありわかりやすくてありがたい。
そして假屋さんが「リラックスして楽しんで下さい」といったのだが、神楽さんたち気合が入ってて、めっちゃ真剣なので(いつも真剣ですけど特別ねw)、見る方も圧倒されて緊張気味。とても冷やかせる雰囲気ではなかった。前日の花祭とシステムも内容も違うけど、どちらも楽しいという点では同じ。違いは花祭は集落みんなで騒いで楽しむ祝祭で、黒森神楽はある意味旅芸人の側面を持つからエンターテインメント性が高い。楽しませようという姿勢が強いのだ。これは特に岩手の神楽に共通しているけれど。




いずれにしても神楽は楽しい。
そしてその土地の生きる人達の根強い信仰を元に存在する。
最近はこれについて僕は神楽の定義のひとつとして「村や集落、同じ風土の中で生きてきた人たちが共有する世界観、宇宙観、自然観、死生観を五感、六感に訴えて、みなで確認するために時空を超えた装置」というような言い方ができないかと考えている。も少し練らなければならないが。
でも楽しい!! 御神酒うまい!! 神楽さんみんな素敵!! 神楽好きみんないい人!!

さて、会場の使用できる時間が限られていて、時間内で収まらず最後に演る予定だった珍しい「仕組み」の演目を見ることが出来なかったが、4時間以上、「打ち鳴らし」「清祓」「榊葉」「新岩戸開き」「御神楽」「大蛇退治」「松迎」「粟蒔き(狂言)」「山の神舞」「恵比寿舞」などをたっぷり楽しんだ。途中で足がつったりしたけどね(^_^;)



ここではお名前は出さないけど超有名な神楽のレジェンドの長老がお忍びで見に来られてて、ずっと真剣にそして楽しそうに見ておられたのにも感動した。普通、神楽さんたちは他の神楽は見ないものだし「自分たちが一番」と思ってやっていて、そうでないと出来ないのだけれど、ジーンときた。
ジーンとくるといえばその前にかぶりつきの目の前で舞う「清祓」から泣きそうになって、泣くのをこらえるのが大変だった。最近は再訪すると「あ〜、また見ることが出来た」と涙腺緩む傾向ではあるけれど。

帰ってしまう神楽さんを見送って、このところよく一緒に神楽を見に行っている仲間たちと阿部さんを囲んで居酒屋で宴。
9人のうち6人はぼくを含め隠岐島前神楽に行ったし、3人は椎葉嶽之枝尾神楽へ行ったし、2人は諸塚桂神楽へ行ったし(笑)。
研究者もいるけど神楽馬鹿ばかり(笑)。

前日の布川からキチガイ沙汰の強行軍だったけど、あっ、軍隊用語は使いたくないから撤回して”無茶なスケジュール”だったけど、強行してよかった。(軍が付かなきゃいいよね)。反戦反戦