布川の花祭で冬の夜神楽終了

先週末の布川花祭で今シーズンの霜月祭り系神楽の探訪が終わりました。
神楽は毎年ほぼ同じ演目をするから、ただ芸能を見たいのであれば一度見に行けばそれでいいという人が多い。

でも、やはり毎年違う。代替わりなどで舞手が違うし、花祭のように年代で担う舞が違うとなおさらである。そして、花祭では「せいと衆」と呼ばれる盛り上げ役の観客の顔ぶれやそのノリで祭りの雰囲気がぜんぜん違うのである。
夜通しの祭りだから時間帯でも変化があるし。
布川の花祭は、そいうの+いろいろあって通うようになり、たぶん今年で17回目くらいだろうか。次が御園の10回くらいか。
初めて行った初体験の花祭が布川だったので「刷り込み」ではないけど、なんか「故郷感」があり、10回目くらいから認知されて知り合いも増えたのでますます通いたくなった。
とにかくその場にいることが先人とつながる感覚があって「シアワセ」「安心」なのです。


宮崎の南川神楽でちょうどひと月前、祭りを手伝っている中山間協力隊の人たちと話していて、「どうすればお客さんが来てくれるだろう」という話題になり、僕は「地元の人から声をかけてもらったら嬉しくなって、また友達連れてくるかもしれませんよ」と話したら「なるほど」という反応があった。ただ、田舎の人はシャイだからなかなかお客さんに話しかけないことが多い。女性に対しては別だけど(笑)。
で布川は、ぼくにとって地元の人達とも顔見知りになり、「気楽」に顔を出せるようになったので、ほとんど「飲みに行く」という感じになってしまった。今では「前半は酔う、後半は寝る」のパターンだ。
今年もまず、神事が終わって最初の舞が始まるまで、いつもお世話になっているお宅で晩ご飯をいただく。宮崎の「脇宿」みたいだけど、それほど大人数は対応してない。
そこで一年ぶりの話に花が咲き、ちょっと飲む。
と言ってもビールを二缶くらい、そして、いつのまにか僕のために焼酎を用意してくれていて、今年も「いいちこ」を数杯(水で割ってね)。
なので、花宿(祭りの会場)にいくのは「ばちの舞」や「一の舞」が終わったあとの「地固め」くらいの頃のときが多い。
そしてこのあとあたりから「うたぐら」が盛り上がってくる。「うたぐら」は「神歌」「神楽歌」と呼ばれる神楽にはなくなてはならない歌のひとつなのだが、「せいと衆」がうたって成立する、観客参加型のものなのである。
ぼくは花祭に通うようになって、最初は笛を吹くのが意外と敷居が低くて、笛を吹くのを楽しみにしていた時期もあった。ただ、その頃はほんとに吹き手が少なくて「猫の手も借りたい」年もあり、神座に上げてもらって吹いていたら法被みたいな舞手や祭りの構成員である宮人(みょうど)さんの「ゆわぎ」を着せてもらったこともある。
だけど、この「神歌」が貴重な文化であるということを全国の神楽を見ていたらわかってきて、年によってはあまり歌が出ないこともあり、こっちを手伝おうと思ってからは笛はほとんど吹かず、歌を歌うようになった。
そしてそれがじつに楽しいのである。


一般的に胴取りと呼ばれる太鼓を叩く人が神歌(短歌形式)の上の句を歌い、それを一部重複させながら「せいと衆」が下の句を受けて歌い、最後をまた胴取りが受けて「おーもーしーろ」と加えるのである。
これは地区によっては「おもしろや」と歌ったりするし、岩手の黒森神楽でも「おもしろ」は神歌の最後に加えられている。「神楽のお約束」なのかもしれない」
舞の邪魔をしないように舞庭(まいど)で歌ってるとお酒が回ってきて、それを飲みながらまた歌って、と繰り返しているうちに「出来上がって」しまう。
特に最近はお客さんを車でご案内しているので朝にはまた車を運転しなければいけないので日付が変わる前にガッツリ飲むのである^^;

今年も日付変わる前の「うたぐら」は楽しかった。というか、10時頃が布川では「うたぐら」が一番盛り上がる年が続いている。
そのあと舞庭から離れて座っていたら僕の大好きな歌のうまい隣の古戸地区の人が来て盛り上げてくれて、もう嬉しくってそのあたりから記憶がない。胴取りとせいと衆の白髪の眼鏡の人です。 
https://youtu.be/2kskjlNUcMw


そのあとは「花の舞」や「山見鬼」とかの様子は聞こえてくるんだけど、酔いつぶれ状態なので写真もビデオも撮る余裕は無し。
晩御飯のビールと焼酎を合わせたら一升飲んだのではないかという目撃者の証言もあるけれど、たぶん6合くらいだと思います。二日酔もなかったし。酔いつぶれたけど寒くてほとんど寝られなくて寝不足でした。
てなわけでなんとか無事に途中「かじかの湯」に寄ってから飯田でレンタカーを返して高速バスで東京に戻りました。さすがに昨夜は酒は抜きました。今夜は飲んでますが^^;


もう一つの動画は、僕が布川に通うようになった理由のひとつである花太夫の尾林良隆さんの神事の時のビミョーな太鼓。ほとんど「つぶやき太鼓」。
これは良隆さんによれば「こう叩く」と教わったそうな。
この音量の出し入れとリズムの感覚がモダンでね、たまんないっす。
これが「本来の太鼓」と言うつもりはないけど、「本来の姿のひとつ」ではあると思います。
ただ、この音量にカメラのシャッター音はうるさいなあ。
https://youtu.be/VqKm0u3BT2s

長くなっちゃいましたm(_ _)m