布川花祭

micabox2008-03-02

3月の第一土日は布川の花祭、というのが僕の年間スケジュールに加わって何年になるだろうか。いろいろな縁も重なって今年も行ってきた。
他の地区の花祭もそれぞれ個性的でいいのだけれど、サイズが僕にピッタリ来るのが布川なのである。
ただ、そのサイズというのが小さいので続けていくことがなかなか難しいという事情も抱えているところが悩ましい。

今回は夜になってから車で来る仲間がいるので、帰りはその車に乗ることにして往きはJRを使って飯田線東栄まで行った。
まずは朝8時23分石和温泉発の特急スーパーあずさで岡谷まで。土曜の朝の特急なので満席で到着したが、甲府で何人か降りたので座ることが出来た。

そして岡谷から飯田線の各駅停車で合計6時間の列車の旅。平日は高校生が乗ったり降りたりせわしないのだけど土曜なので割合すいていて助かった。ちょっと横になって寝られたし。車両も新しかったから疲れなかったな。

前回1月14日は新野の雪祭りへ行ったので温田という駅で降りたが、こんどはそれより先の未知の部分。子供の時に一度SL時代の飯田線に乗った記憶がうっすらあるが、大人になってからは初めてだ。よくこんなところに鉄道を引いたものだと昔の日本人に感心。

2時23分に東栄駅に到着。降りたのは三人くらいだったかしら。布川へはタクシーで行くつもりだったのですぐにタクシー会社へ行ったんだけど、もう予約が入っているし今日は一台しか動いていないという。神事が見たくてこの時間に着くようにしたのですぐに行きたかったのだが、とりあえず町の中心部の本郷へ行くバスを1時間ほど待って、本郷でタクシーを探そうかと神事を諦めかけていたら、タクシー営業所にいた運転手さんの友達が「祭へ行くなら乗せてあげようか」と、意外な展開。その人は10年ほど前に交通事故で足を悪くしてしまい、それから花祭を見に行っていないんだと、ちょっと悲しい話を聞かせてくれた。「やっぱり見に行ったら体が動いちゃうからねえ」と。

タクシー代分くらいを御礼にと思ったが、固辞されちゃって、まったく恐縮でした。神楽のある町にはほんとにいい人が多いなあ。この恩は今度誰かに返さなきゃ。親切は天下の回りものだからね。

で、二つほど神事に間に合わなかったが「辻固め」の最後の方に滑り込み。そのあとの神事からきっちり見ることが出来た。

そして舞いが始まるまでの一時間ほど、近くのIさんの家にお邪魔してご飯をいただく。去年からご馳走になるようになったのだが、今年も「ウチでごはん食べな」と誘われてホイホイと。手作り五平餅とか手作りこんにゃくとか煮染めとか、いろいろ美味しいものをいただき、91才のおばあちゃんも元気で楽しいひとときを過ごし、また舞処に戻る。


いつもよりちょっと遅くなったが、舞いが始まりどんどん演目が進む。去年からボランティアの人たちが準備の手伝いなどをするようになって祭が続いている布川なのだが、今回はボランティアの人たちが神座に上がって笛を吹いていた。だけど、人数も多くてちょっとやり過ぎの感じもした。
だいたい音的にはきっちりとはしないところが神楽の良さで、そこが花祭の良さでもあるので技術の問題ではないのだが、笛に偏りすぎてしまって、全体のバランスで言えば「せいと衆」として歌ぐらなどで盛り上げた方が良かったのでは思った。
布川の宮人さんたちは手伝いがいるとありがたいので笛の人たちを歓迎しているようだが、ボランティアに任されてしまって止まってしまって舞い手が舞いにくそうにしていた場面がいくつかあったし、ビデオでは記録として残るので「布川はこんなかんじ」と思われてしまうかもしれない危惧も感じた。

布川は年々、歌ぐらだけでなくテホトヘテホヘの歌を歌う人も減ってきている感じがしていて、先日別冊太陽『お神楽』のCDを久しぶりに聞き直して「歌ぐらをこんなに歌っていたんだなあ」と改めて確認したので、そのあたりが気になっていたこともあるのだが…。

だから今回は僕は喉がつぶれるくらいテホヘを歌った。笛は朝になってほんとに吹き手がいなくなってから少しお手伝いをさせてもらった。来年はせいと衆として舞いにも挑戦してみよう。

夜9時頃、馬場さんが春風亭柳好さんを連れて布川に到着。それからは三人で祭を楽しんだ。

今回は榊鬼が5時過ぎに出てきたりして、いつもより1時間以上遅くに終わったのだが、そのあとまたIさん宅で朝ご飯をいただき、入浴券をもらったので「とうえい温泉」に入ったりして、今シーズンのぼくの花祭は無事終了した。

テホヘ。