諸塚神楽探訪報告1

報告が遅くなりましたが、宮崎・諸塚村の南川神楽と戸下神楽に行ってきました。
その第一弾です。
1月31日宮崎入り、空港近くの知人から車を借りて日向市へ北上。この日はIさん宅にお世話に。Iさんはちょっと年上だけどいろいろ興味の対象が重なっていて話が尽きない。まっとうな暮らしや自然医学、みたいな分野だけど。
息子さんの浩平くんは「カムヤマト」という手作りイベントのメインスタッフで、去年もここに泊めてもらった。
朝出る前に「香功」を教えてもらいたいというので急遽簡単に指導。デジカメ動画で動きのパターンを記録してもらった。
参考になるかとYouTubeで検索したら二つほど出て来たけど、どちらもマチガイだらけ。
僕は「香功」の公開者である中国・洛陽の田瑞生老師のところへ直接習いに行った林茂美先生など何人かの日本人指導者から習ったし、田老師のビデオも持っているから、マチガイは指摘できます。

そしてI氏宅を出て一路諸塚へ。毎年寄っている「しいたけの館21」併設の「どんこ亭」でランチバイキング。しいたけを使ったいろいろなメニュー、炊き込みご飯、白飯、コーヒー、ジュース、お茶など食べ飲み放題で800円。諸塚の楽しみのひとつであります。



それから南川神楽へ。今年は梅の木という集落が会場。神楽が出来るように集会場が作られていて、そこからつなげて「御神屋(みこうや)」という仮設の舞台が設営されている。


諸塚の神楽は最初に「舞い入れ」という行事があり、これは集落にある全ての神面を着け、弊差しという面を着けない役の人なども加わって40人くらいの行列で氏神の神社から御神屋へ集落を舞いながら歩いてくるのである。
諸塚では神面は各家が持っていて、神楽の演目では使われないものもここではお披露目されるのである。



14時くらいからの「舞い入れ」は神楽33番とは別だが、これを見ないと諸塚神楽を見た気にはなれないのである。
しかし、この日は珍しく20度を超えたようで昼間は暑いくらいだった。

そして「舞い入れ」のあと、33番がスタート、夜を徹して朝まで続くのである。夜中の「三荒神」、夜明け前の「歳の神」「柴引」など、観客が大騒ぎして盛り上がる演目もあり、夜明けに合わせた「岩戸開き」も感動的で美しい。

ほとんどの舞はシンプルで、娯楽的な演出は少ないけれど味わい深い神楽である。

今回は6月に「せり歌調査」で訪れた時に「ここのところ『ぜき唄』が出ていないのはやはり淋しいから婦人会に声かけてみましょう」と言うことになったので「ぜき唄」の確認も楽しみだった。
「ぜき唄」は観客が唄うもので神楽の人が唄うものではないが、保存会でこの秋「南川神楽ぜき唄集」という冊子を作っていて、みんな思い出したらしく、最初は神楽の人たちが控室からマイクを使ってそれぞれが歌い、スピーカーで外の観客に聞こえるように歌ったので、それが呼び水となり、少しだけだったけどお母さんたちによる「ぜき唄」も聞くことが出来た。大収穫である。

神楽の人たちも、隣の戸下神楽へ行けば観客なので歌う機会は昔からあったのである。

4年連続の南川神楽だけど、今年も近くのお宅におじゃまして地元の人達と酒飲んだりしたので、夜明け前はけっこう寝てしまったな。
御神屋の見えるテントでも振る舞いがあった。


昼間は暑かったけど夜中には雨が降り、やはりけっこう冷え込んだ。
御神屋の屋根が青いのは雨よけのブルーシートで、雨の心配がなければこれがなく、もっときれいなんだけど。

無事に神楽も終わり、この日は村の運営する古民家宿泊施設のひとつ「桜のつぼね」に泊まることになっていたが、鍵を持っている管理人の田邊くんも神楽のメンバーなので、打ち上げに参加するから3時ころまでは入れない、ということで時間を潰すことに。打ち上げに混ざることも出来たけど、そうすると飲んでしまって運転できないのでそれは諦めて、ちょっと日向の方に下った西郷にある温泉に行き、大広間で仮眠してから食堂で昼飯食べて、また諸塚に戻ったのでありました。

そして「しいたけの館21」でネットを少し。ポケットWiFiは諸塚では入らないので、ここにある観光協会のスタッフのスマホの電波を借りたのです。

そして田邊くんから連絡があり(彼も観光協会スタッフです)、彼は裏の山道から「桜のつぼね」に帰ってくるというので、別のスタッフに案内してもらって山道を登ること10数分、現地で合流して宿に入り、再び寝たのでありました。