『バオバブの記憶』試写会

micabox2009-02-06

@映画美学校
本橋成一さんの新作映画の試写会に行ってきた。
バオバブの林と共に生きるセネガルの小さな村の一年を追ったドキュメントで、バオバブの精霊を信じてバオバブからの恵みを得ながら暮らす、敬虔なイスラム教徒の基層にあるイスラム以前のアニミズムがよくわかる映画だ。
おそらく、アフリカの村へ行けばどこでも同じような構造になっているのだろうし、これはまた古い祭りの残る日本の村と同じことである。
だから、遠いアフリカの映像を見ていても日本のネイティブとの共通点ばかり見えてしまったのだった。

もらった資料の中にあった毎日新聞の記事の中で本橋さんが、「サハラ砂漠上空を飛ぶ飛行士だったサン・テグジュペリは『星の王子さま』で、バオバブを王子の星を破壊する悪者として描いた。欧州人の視点である。」と語っている。
キリスト教徒はあの不規則に伸びる枝を神の秩序からはずれた不気味な存在に思ったのだろう。
かつて「日本の放浪芸」の取材でカメラマンとして小沢昭一さんと一緒に旅をした本橋さんはそれをアフリカの視点で描きたいと言っていたが、それは淡々とした優しい視線で押しつけがましさがなく画面に表現されていた。

樹齢が1000年というものもあるバオバブに「100年前の暮らしはどうだったのか、500年前はどうだったのか」と訊ねる歌が流れるが、その答えは500年前の日本の村の様子とも似ているものだったろうと思うのだ。
そのイマジネーションを僕たちは持ちたいものである。

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