@奥三河

micabox2008-11-23

また今年も霜月神楽のシーズンとなり、第一弾として奥三河の花祭、足込(あしこめ)地区に行ってきた。
この日は月や坂宇場、河内という地区でもやっていて迷うところなのだが「なんとなく」足込にした。
飯田から南下、途中国道から県道に入って御園地区に山側から入る。ここに「茶禅一」という蕎麦屋があるのでここで蕎麦を食べたかったのだ。ここはもともとお茶の栽培をしていて「おもてや園」という店だったのだが、何年か前から息子さんが戻ってきて蕎麦屋も始めたのである。
http://www.omoteyaen.co.jp/
御園の花祭の中心メンバーとしても有名なお宅だが、御園の花祭の日は蕎麦屋は当然休みなので御園以外の祭りに来ないと食べられないのである。この日は連休ということで満席でしばし外で待つ。天気が良くて助かった。豊橋あたりから遊びに来る人が多いのだが、このあたりに美味しい蕎麦屋は少ないので人気になっているようだ。

自家栽培の蕎麦を使った田舎蕎麦を食べたあとに、御園から近い足込へ。
会場へいったら数人がいるだけ。外でやる神事が始まっちゃったかなと思って訊いてみたら、まだ山のお宮から神様が降りてこないという。
地元の人と少し話しをしていたら遠くから笛と太鼓の音が聞こえてきた。御神輿が降りてきたのである。御神輿を祭壇に安置してお宮の神事をしてからいよいよ花祭の神事。
まずは近くの川へ行って「瀧祭り」、それから会場近くで「辻固め」、裏山で「高嶺祭り」と外での神事が続く。
花祭は一部神道化した地区もあるが基本的には神仏混淆で、御幣を振って数珠を擦ってという神事なのだが、ここでは「六根清浄の大祓」をしたり「般若心経」を唱えたり仏教色が一段と強い。

会場の花宿に入ってからも「神入り」「天の祭り」「竃払い」「湯立」など神事が延々と続いて、舞いが始まったのは7時半頃。
この頃にはお客さんの数も増えてくる。
「市の舞」「地固め」、子供の舞の「花の舞」「山見鬼」「三ッ舞」「榊鬼」「ひのねぎ」「岩戸開き」「四ッ舞」「翁」「湯ばやし」「朝鬼」「獅子舞」と舞が続くが、ここはきっちりと演目が行われるので所要時間も長い。またマイクを使って神歌の「うたぐら」がちゃんと聞こえるようになっている。歌がわかるのはありがたいが、太鼓の音も拾ってしまい、音が割れて最初は聞き苦しかった。
でもだんだんこの「割れた音」も祭りの効果に感じてしまうから不思議なものだ。
そしてこのうたぐらは太鼓の叩き手が歌うのだが、その隣で花太夫や祢宜さんたちが別の神歌を歌っている時があり、これが混沌として面白かった。僕は祭りのこういう部分の二つ三つ同時進行の「祭り空間」がとても好きなのである。

明け方の一番寒い頃が「四ッ舞」だったが、これまでの花祭で一番寒さを感じた。車に戻れば着るものはあるのだが、その元気もなくブルブルという感じである。

「翁」が8時頃で「湯ばやし」が始まったのが9時過ぎ。そして1時間ほど激しい舞を舞うのだ。ここの「湯ばやし」は垂直ジャンプが印象的だった。この部分はちょっと遠山の霜月祭りの若者の舞「四面(よおもて)」にテイストが似ているな。
そしてグラグラに煮立った竃の湯をちょっと湯たぶさに付けて形式的にお祓いをしたあと、竃には水が入れられそのあとはしばし「思いっきり」湯がまき散らされる。ここは周りにいたらびしょびしょになる量だ。事前に靴を袋に入れてしまっておいて良かった。
ここは古い映像を見たときに「湯ばやし」で仮装をしていた人がいたので楽しみにしていたのだが、今は化粧になったようで顔にネコの鬚を書いたような人が10人くらいいた。半分は中学生、高校生くらいの女の子たちで、大騒ぎしていたのが見ていて嬉しかった。そういえばここは正式の舞にも何人か女の子が舞っていたな。
きっちりと演目をやっているが「開かれて」来ている部分もあるのだ。

阿鼻叫喚、興奮のるつぼの「湯ばやし」のあと「朝鬼」が出て、「獅子」が出て11時過ぎに舞は終了。そのあとまた神事があって12時半頃、御神輿が軽トラックに乗って山のお宮へと帰って行った。

約24時間近くの祭りを体験したわけだが、町の中心部に近い月という地区の会場へ行ってみたらまだ祭りは続いていて、たぶん「四ッ舞」くらいではないだろうか。ここは30時間はやるので終わるのは夜である。
我々はハシゴする時間と元気がなかったので、通り過ぎただけで奥三河をあとにし、新野、伊那、高遠を通って買い物をしながら石和までたどり着いたのであった。