14日から15日にかけて

micabox2007-01-15

エンケンさんの還暦誕生日祝い新年会の酒も抜けないまま長野は阿南町、「新野の雪祭り」へ行った。
この祭りは神楽の要素もあるけれど、田遊び、田楽の要素の強い祭りである。雪が多いほど豊作になるという信仰を元に行われるもので、演目の中で「大雪でございます。大雪でございます。」と唱える部分があり、雪がないと成立しないので雪がない年は山の上まで取りに行くそうだ。もともとは地元の人にとっては普通の祭りで正式には「御神事」で通称で「雪祭り」呼んでいたものを、折口信夫が学会で報告してから一般化して、その後正式名として定着したらしい。
田んぼ系の祭りは感染呪術として豊穣の予祝儀礼をやるのだが、そこには和合-生殖による子孫繁栄が重ね合わされていて、ここはその代表格で、まあおおらかな性の祭りでもあった。
6時頃現地に着いいたら神楽殿や本殿でいろいろな式次第が進行中。神を迎えて舞を舞うのは神楽的な内容である。そして夜も更けてから祭りの場は庭に移り、巨大なたいまつを大勢でゆっくりと立てる。勃起である。そして日付も変わった頃「らんじょう、らんじょう(乱声)」と壁を叩いて大騒ぎするところから一気に盛り上がる。大勢で板壁を棒で叩いたり突いたりして壊れないかと心配になるくらいだった。たいまつにも火がつけられるのだが、てっぺんから火が着くように、種火を乗せた船をロープで操って動かすのが面白い。てっぺんから真上に勢いよく上がる火の粉は射精のようだ。そこから「さいほう」「もどき」「きょううま(競馬)」「お牛」「翁」「「神婆」「海道下り」「天狗」「しずめ」「田遊び」など様々な演目が朝まで続くのだが、夜中の気温はおそらくマイナス8度くらい。焚き火にあたったり休憩所に避難しながらなんとか見ることが出来た。「神婆」では男女が抱き合い、性交の様子を表すのだがそれを演じているのは少年で、子供達もしっかり見ている。横で大人達があからさまな表現であれこれはやす。良い性教育でもあるのだな。「さいほう」「もどき」でもすりこぎのような「男根」が舞道具で、若い女性をターゲットに男根で顔をなでたりする。「もどき」の時は少年で、ちょっと照れくさそうだったが「さいほう」は大人だったので、なでまくって大いに盛り上がり、男までなでていた。
祭りの分類としてはいろんな要素があって一言では言い表せないが「日本芸能のルーツ」といわれるだけの古式を保った素晴らしい祭りだった。
使われる面も、よくある神楽面よりプリミティブで、毎年色を塗り重ねて「化粧」をするあたりも面白い。おそらくかつては祭りの後に焼くか流すかして捨て去り、毎年新しいものを作っていたのではないだろうか。いろいろ想像力をかき立てられる祭りでもあった。寒いけどまた行きたい。