昨日の遠野・板沢しし踊り@中野

中野ブロードウェイで公演をした遠野の「板沢しし踊り」を見てきました。上演前の会長さんの解説によれば「神楽が変化したもの」とのこと。たしかに祝詞の意味を持つという歌から始まり、祓い清め、祈祷、という流れは神楽と同じでした。
でも見た感じでは、元々東北にあった鹿(しし)踊りと山伏神楽権現舞が習合したような印象を持ちました。太鼓のバチの形も早池峰に近かったし。
「しし頭」を付けない舞い手の舞は早池峰神楽権現舞の体の使い方に似ていて、手には「くじ」を付けた舞い手もいたようです。「しし踊り」ではなく「しし舞」と呼びたいのだけれど、踊りと呼ぶ何か理由があるんでしょうね。

かつては各家の長男しか参加できなかったということなので、村に帰属する芸能なわけで、巡業して移動する山伏神楽との微妙な関係があったのかな。
今では女性も参加するようになったし、子どもも加わって70人とかすごく大勢で踊るそうです。それが遠野町だけで14団体あるのだからすごいです。

民俗芸能をやりたくても神楽はなかなか参加するのは難しいので、こんな形で行われるのは神楽の発展形、一般化として良質な見本を見せてくれてますね。

笛は手作りで太め。太鼓の低い音に合わせるためだそうです。この低音が神様と繋がる大事な響きで、リズムもシンプルだし気持ち良かった〜。

岩手にはこの「しし踊り」や「中野七頭舞 」みたいに神楽由来の民俗芸能が豊かなようです。

何と言っても、神楽や民俗芸能は基本的に「自己表現」ではなく、自我がなくなるまで無心で舞い踊るものなので、その「セルフレス」の状態が神人一体の「祭り空間」となり、その場にいるとトランスや恍惚感が生まれます。
昨日のしし踊りでもそれが感じられて、昨夜は限度を超えて飲んでしまいましたw。

で、せっかくの遠野と中野の交流だから、是非中野でこれを習い覚えて、高円寺の阿波踊りと競い合うようになってほしいと思いましたよ。「遠中野しし踊り」とかねw