浅草雑芸団

朝5時半に起きてコーヒーを淹れ、前夜のチャーハンの残りを持って6時半に部屋を出る。
上島さんと合流をして電車を乗り継ぎ、浅草へ。そこから徒歩で向島の三囲(みめぐり)神社へ。
神社が幼稚園をやっていたという建物を借りて春駒の準備である。

太鼓などを積んだ車が着く前にチャーハンで朝食。芸人ペースでの進行なので悠長なことはしていられない。このあとの食事は未定である。浅草雑芸団のメンバーも次々と到着。
衣装を着て(着せてもらって)流れを確認しながらの練習をしてから9時半に出発。まずは車で一番遠い多聞寺へ。

車を停めたところから「道行(みちゆき)」を開始。お囃子をしながら多聞寺へ練り込む。このお囃子は山梨に残る春駒で囃されるものを使った。上島さんと僕が笛である。31日に初めて聞いてなんとか覚えた、5つのパターンの繰り返しだ。

天気は良いが朝の10時はまだそれほどの人出ではない。春駒と簡単な福引きを終えてまた道行で車に戻ったら100人くらいの団体が到着。うーん、なかなかタイミングがむずかしいものである。

そのあとの白髭神社向島百花園はお参りする人たちが行列を作るほどの盛況になってきて、その横で春駒を舞わす。景気付けに御神酒を飲んでやりたいところだが、翌日の坂部行きのことを考えると自重してしまう。
百花園のあとは「じまん草餅」「長命寺桜餅」「言問団子」と老舗の和菓子店の前で門付けをする。寺社での奉納とはまた違う、大道芸そのものである。大道芸の初体験は隠岐島の猿回しに同行したが、この時は門付けはなかったのでこの日が門付け初体験である。っていうか、体験したくても今日日なかなかできないので貴重な経験である。カメラを持った人数名がついて歩き始めたし、道行く人たちも珍しがって写メを撮っていた。


そして長命寺、弘福時と回って、また三囲神社に戻った。そして休憩は10分とのこと。慣れない衣装なのでトイレに行きたくなったらイヤだなと思っていたが、さいわいまだ行きたくない。御神酒を飲まないのは飲むとトイレに行きたくなるおそれがあるから、という理由もあるのだ。
コンビニでおにぎりでも買おうかと思ったが、時間がないので僕の非常食である「柿ピー」をかじる。

そして第二部の「まちまわり」へ。三囲神社の近くの向島二丁目を道行のお囃子をしながら歩く。歩きながら笛を吹くのは初めてで、途中で音が出なくなったり、つばが溜まったりで時々つまる。上島さんはさすがなもので、ぜんぜんへっちゃらで吹いている。たいしたものだ。


今年で10年目で、だいたい門付けをするお宅やお店は固定しているようである。知らない人から声がかかることはほとんどないのだな。上島さんが挨拶に行って断られる店もけっこうある。ご祝儀なんてほんの気持ちでいいのにね。
でも、歩いているとご祝儀をくれる粋な人もチラホラいて、そういうときは「まだ文化が生き残ってる」と感じて嬉しい。また撮影の人もけっこういてこの数年増えているそうだ。知り合いのW氏やH氏も見に来てくれた。

そして予定時間を過ぎて三囲神社に着き、第三部の浅草雑芸団の演芸大会と福引へ。ここでは春駒の他に南京玉すだれや紙芝居や砂絵芸や民謡なども。僕も「演芸以前の民俗芸能」と断りながら「うたぐら」を。神社で歌う神歌はいいもんだ。福引きもあるのでお客さんもけっこういて、O氏一家も見に来てくれた。残念ながら福引きは当たらなかったようだが。


4時過ぎに終わって、近くの「上総屋」で打ち上げ。毎年ここのようである。わいわいと楽しい時間を過ごす。坂部行きがなければかなり飲んじゃうところだが、自重。なんだかんだで7時には部屋に戻ったかな。
そのまま寝たいところだが、やはり初めての体験で昂ぶるところもあるのだろう、そのままバタンというわけにも行かなかった。NHK教育テレビの「日本と朝鮮半島2000年」のスペシャル版をどうしても見ちゃうし。

翌日慌てないように神楽行きの支度をして就寝。