イオマンテ

micabox2008-04-22

`下高井戸シネマ
レイトショーで姫田忠義監督の『イヨマンテ-熊おくり』というドキュメンタリー映画を見た。「優れたドキュメンタリー映画を見る会」主催の「遙かなる記録者への道―いのちの文化を求めて―」のプログラムのひとつである。…長いね、タイトル。

この作品は平取町二風谷で77年に行われたイオマンテを記録したもので。劇場では初公開になるとか。そんなわけで開演25分前に行ったがすでに道路まで長い列が出来ていた。年配もいれば若い人もいる。ウタリはあまりいなかったみたいだが…。満席になるのは確実で良かったと思う反面、日本の人口の 10%が住む首都圏でこれしか来ないのか、とも思う。この夜一回だけなのよ。

77年は僕が北海道へ移る一年前のこと。アイヌに出会う3年前かな。そしてアイヌとどっぷりつき合い、二風谷にも毎月のように通うようになった 10年前のことであった。そして別冊宝島の『アイヌの本』を作る16年前ね。時の経つのは早いものだ。そんでもってアタシの人生もイロイロアラーナである。
アイヌに出会って自分のネイティブ文化を意識しなかったら神楽にも出会わなかっただろう。

さて、06年に亡くなった萱野茂さんがリーダーとなって行われたイオマンテの映像には貝沢正エカシや木幡松次郎エカシなど長老たちの顔も見えて懐かしかった。貝沢耕一さんも若い。薫さんの奥さんも若い。
愛子ババが映っていないかなと探したが見つけられなかった。この頃はまだバリバリのシャマンだったはずである。

映像から聞こえてきた唄は本来の唄い方が残っていて、二風谷もこの頃まではアイヌ語をネイティブに話すフチたちが元気だったんだな、と思う。アイヌ語は声の出し方が日本語と違うので日本語を話す人の唄とアイヌ語を話す人の唄はどうしても違ってしまうのである。不思議とフチたちの声がとても似て聞こえてしまうのだ。「え?弟子屈からフチが来てるの?」と思ってしまったくらいだ。

上映前に挨拶をされた姫田監督はお元気そうでなにより。自分もアイヌ文化には助けられたので挨拶をしようかなと思ったが、今回はやめておいた。

久しぶりにいろいろ思い出した夜で、語る相手がいなかったのはさびしいような、よかったような。

24日のレイトショーは山田和也さんの『プージェー』です。