4月8日

micabox2007-04-08

 朝7時半に光猿館を出て、行波へ向かう。ほんとうはもっと早く出て6時半からの川での禊ぎも見たかったのだが、起きられなかった。
 七年に一度の式年神楽である「行波の神舞(かんまい)」は舞台装置がスゴい。
 神楽を舞う神殿(かんどん)は太い丸太を使って1ヶ月半かけて作られた巨大なものだし、25mの松の木も立てられている。20km以上離れた山から運んできたそうだが、それでも今では長さが足りず二本をつなぎ合わせているそうだ。これだけのものを作るだけでも大変な準備がいるので、毎年出来るはずもない、という規模なのである。

 8時半から神事から始まり神楽が舞われたが、ここの神楽は一演目の所要時間がとても長く、ものによっては2時間というものもある。4,50分の演目には慣れているが90分くらいになるとなかなかない。
 舞人の真っ赤な衣装は同じ山口県新南陽市にある三作神楽と同じで、どちらも九州の神楽の影響が感じられるし神殿の雰囲気など似ている部分もあるが、近いわりには違いが大きい。このへんが神楽の面白いところである。
 舞は三作神楽の方がダイナミックだが、行波は指先まで気が満ちている感じの緊張感がいい。
 お囃子は太鼓が土佐の本川神楽に酷似しているので驚いた。笛の一部は花祭の笛のこれまた一部にも似ていたし、このあたりも興味深い。

 午後3時頃から人が増え始めてきて「八関」という最もユニークで人気のある演目を待つ。鬼神面が8人出てきて奉吏8人と対になって神殿から伸びる花道のようなところを並んで舞い、これも神楽としてはかなり珍しいのだが、舞のあと、その先にある松の大木に白装束の男が登り、てっぺん近くから神殿に向かって張られた綱を降りて来るという「松登り」の荒技があるのである。途中何回か足を引っかけて逆さ釣りになったり、見ていてハラハラする。パンフレットの写真では命綱を付けていたので万一の時は大丈夫なのだろうと思って見ていたが、降りてきたところを見て驚いた。命綱なしだったのである。
 「松登り」が大きな拍手で終わったあと、その興奮を残しながら神楽はまた神殿で夜遅くまで続けられた。

 この神楽で「初めて」だったものはいくつかあるが、神殿前に樽酒が置かれ、みなが勝手に飲んでいる、というのにも驚いた、というかありがたかったなあ。午前中は天気も良かったので土手で神楽を見ながらという贅沢な花見も出来たし、この神楽もくせになりそうである。