昨晩のたね蒔きジャーナル 1/25

1/25(水)

 永岡です、毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日も水野晶子さんの司会、毎日新聞専門編集委員近藤勝重さんの案内で放送されました。今日は志賀原発差し止め判決を出した元金沢地裁の裁判官で弁護士の井戸謙一さんがスタジオでの出演でした。昨年5月の電話出演依頼の登場です。

 原発のニュース、福島の伊達市(北西60km)で放射線量を測り、年間10ミリシーベルトを超える人が33人出ました。9443人を対象に調査し、二人は20ミリを超えていた人もいるのです。去年の11月からの3か月の調査で、平均は年間1.44ミリシーベルト伊達市は心配ないと言うものの、33人に内部被曝の検査を行います。

 そして、小出先生のお話、伊達市の結果、放射線業務従事者、年間20ミリを我慢しろとされている(そういう職員が100人いる)のに、10ミリを超える被曝をする人はいない、原発で働く人でも20ミリを被曝する人は事故前にはなく、世界が変わったと言われたのです。

 で、井戸さんとのお話、小出先生、女川原発の裁判を見て、原発の裁判、工事の妨害で刑事事件の被告になり、今の仕事で伊方の裁判に証人になり、伊方は住民と国の科学での論争をして、住民側が論証で圧勝したのに、国の証人は耐えられず、証拠は黒塗りであり(立証するつもりなし)、どうやったら国が勝てるのかと思っていたら、判決は国が勝ち、原子力は国家の基本的な方向性を決めるので、司法が楯突けないと思い、その後原子力の裁判は関わっていないのです。

 小出先生は司法に絶望され、井戸さん、志賀原発の裁判で住民勝訴にして、原告が勝ったのはこれともんじゅのみ、しかしその後ひっくり返り、原告全敗で、小出先生の感想は仕方ないものの、井戸さんはこういう判決を出せた、自分はスーパーマンではない、証拠を見て何の妨害も圧力もなく、裁判官の健全性はあると思われるのです。しかし、他に住民勝訴はなく、内容が専門的で、肩書のある専門家がバックに付き許可を出し、それを素人の裁判官がひっくり返すことの難しさがあるのです。

リスナーより、文系の裁判官が理系のことに理解することについての質問があり、原告が疑うべき問題をだし、しかし100%の安全はなく、社会的に許容される程度に安全か、最終的には社会的な判断であると言われました。

 小出先生、裁判で証拠を出して反対尋問もある、主張の正しさは素人でも分かると思っていたのに、意見をただ聞くのではなく、論争させてもらったらどちらが正しいか分かる、一対一の論争は出て行ったが、内容で科学的なものでも、論争しているところを見たらわかってもらえると思って来たのです。

 井戸さん、証拠が墨塗り、水野さんは信じがたいものであり、安全性の情報は被告(電力会社、国)が持ち、情報度の格差があるのです。

 近藤さん、今回の事故で、今までの判決に疑問を持った裁判官はいるかについて質問され、それはなく、裁判官はどういう解釈で生きているのかと近藤さんが聞くと、適切に判断したと言うことであり、井戸さん、今回の事故で、自分の判断が正しいと思い、果たして起きたと言う思いもあるのです。

 井戸さん、裁判官で反省している人もいると言われました。

 小出先生のお話はこれまでです、これを、お伝えいたしました。


たね蒔きジャーナル、続いて、井戸さんのお話が続きました。井戸さんが一度だけ稼働中の原発差し止めの判決を出されたのです。

 井戸さん、32年間法廷で仕事をされて、昨年3月で退官され、震災・原発事故の後の退官であり、井戸さんのみ原発ストップを言われて、その井戸さんですら、3・11を、まさかこんなに早くこんなひどい事故が起こるとは思わなかったのです。井戸さん、メルトダウンの可能性を2006年に指摘され、それが現実化するとは、リスクがあるのは分かっているものの、安全に廃炉まで行くと思っていたのに、考えの甘さを思い知らされたのです。

 井戸さん、今は住民側に立ち、活動しておられます。

 近藤さん、合理的な考えと言われても、司法を担当して、覚悟のいる判決と考え、国策である原発を止めることは大変と思い、国策への皮膚感覚があり、それを乗り越えた井戸さんの考えを知りたいと言われました。

 井戸さん、3か月かけて判決起案して、眠れなかった、言い渡しが近づくとそれはなくなり、悩んでいたのは、結論は決まっていても、それを説得力ある文章に出来るかは問題であり、誰が見ても納得できる判決が書けるか、動揺もあったものの、形になり、気持ちは落ち着いたのです。

 近藤さん、国策への遠慮はなかったかについて聞かれて、国策でも勝った方に軍配を上げるのが裁判官の仕事であり、判決の結論は法定の主張で決めるものです。近藤さん、そういうことがすっと入らない裁判官もいると指摘し、井戸さん、自分の信じることに従うのが裁判官と言われて、水野さんも感心されました。

 住民は、いろいろなことをしてダメで、裁判になるものであり、しかし納得できない。井戸さん、福島・郡山の子供たち14人の弁護をされて、郡山(原発から60km)は高線量で(0.7〜0.8マイクロシーベルト/時間、年間5ミリ以上)、子供の生活は健康被害のリスクがあり、避難させたいのに、自主的に避難できる人はもうしているが、行政の支援がないと避難できない、それで、行政にもっと安全にしてくれと訴訟しているのです。この14人だけでなく、これを認めたら、この他の子供たちも疎開できるのです。

 しかし、これは却下され、特徴は2点、14人の子供だけ別に取り扱えないと、郡山3万人の避難と解釈して、よほど高いハードルを建てられ、郡山は安全ではないが、100ミリ以下であると、切迫した危険はないと却下されたのです。しかし、20ミリは批判のある数字であり、法律では1ミリなのです。

 チェルノブイリは5ミリを超えたら強制避難、1〜5ミリは権利的に避難できる(行政が支援できる)ものなのです。郡山は義務的避難区域になるのに、子供さん、親は行政に訴えてもダメで、福島県は100ミリまで安全と言ってそれを信じている人もいる、なら、司法なら理論通り、正義が通ると思ったのに、親御さんはショック、しかし、これで引きさがれないのです。仙台高裁に抗告したのです。

 井戸さん、福島の人の声を聞いて、子供、大人の体調が良くない声があり、鼻血、下痢+甲状腺の腫れ、疲れやすいことがあり、これが放射能のためと思われ、心配し、しかし福島では事故は収束し復興と言っており、給食も地元のもとを食べる雰囲気で、地元の食物が心配と言いにくいものなのです。内心は不安でも、表立って発言できない(人間関係に問題が出る)状況なのです。

 近藤さん、勝訴判決は事故による被曝を懸念して書いたと指摘し、今は第2章であると指摘され、井戸さん、チェルノブイリ甲状腺がんのみ認められているが、子供たちに被害があり、ウクライナで健康な子供は27%しかいない、免疫の低下で、福島がこのままだとチェルノブイリになると言われました。

 井戸さん、司法が最後の砦と思われているのです。

 近藤さん、「無私」の言葉が聞こえたと感想を語られました。

 今日は、原発差し止め判決を書かれた井戸さんのお話をお届けしました。