高速をバスで

micabox2009-06-02

さすがにこの日の朝食はパス。神楽のメンバーは8時にちゃんと食べたようだ。
毎朝、食べに行った店のオモニが「おいしく食べてもらえているかしら」と、とても気を使ってくれて、辛くないように特別に調理してくれたりしていたので、行ければよかったのだがお腹が全然減っていないのである。ふだん朝食抜きでいるから実は朝食に付き合うのはキツい。
10時に晋州を出る。大型バスを10人で。後方の座席の一部を動かしてラウンジのようにしているので、そこに自然と集まる。
走り出して早々、最年少のシンヤくんが「とざいとーーざい、僭越ながらわたくし、芸を披露させていただきます、と膝をつく。
何をするのかな、と思ったら「今日は事務局長のマサミツさんの誕生日です。日本のビールを買ってきたので、これでお祝いしたいと思います」と。みんなの発案なのだ。
マサミツさん、思わぬ展開にビックリ。さっそくスーパードライで乾杯をした。
いい人たちだなあ〜。
バスに乗ったら即寝るつもりでいたけれど、しばらくは缶ビール一本で盛り上がってしまった。

そして2時過ぎにソウルに着いた。宿は4月に泊まったみたいな「Serviced Residence」で、あの時よりもランクは下がるがキッチン、冷蔵庫、洗濯機付きの長期滞在用である。まだ全部の部屋の掃除が済んでいないということで、一部屋に荷物を置いて外出。
路線バスでソウル駅へ行き、僕はやりのこした買い物をロッテマートへ。みんなは南大門へ散策に。
南大門で待ち合わせてタクシーでホテルへ戻り、しばし休憩。
僕はネットで夕食を食べる店を探す。
「ホルモンも良いねえ」などと言っていたからである。

通訳のヒョサンくんが「けっこう近くに店はあるみたいだ」ということで、歩いて地下鉄駅近くへ。
時間も早く、案外決めるのに苦労した。「高そうだし、店主の態度も横柄だけど仕方がない」ということで、とあるホルモン屋へ。
イメージとしては学生が溜まるような店を望んでいたのだが、そこはわりと大人が来る店みたいだ。
ホルモン焼き盛り合わせを8人前頼んだのだが、けっこうボリュームがあった。オモニがまず鉄板で焼いたものをテーブルのコンロでまた焼きながら食べる方式で、ハツ、小腸、ハチノスみたいなのと野菜が入っている。そしてそこに主人が大量のニラとネギを追加するのである。「ソウルの店は高いし副菜のお代わりが出来ないとこが多い」とヒョサンくんが晋州で言っていたのだが、ここのご主人、「おいしい」と言ったらどんどん持ってきてくれた。
最後はその鍋で焼きめしを作ってくれて大満足。
値段もまけてくれたようで予算内で済んで、これまた満足だった。
ただ、シンヤくんだけは飲み疲れで体調が悪く、食が進まない様子。それなのに朝のバスで元気そうに誕生会の司会をするなんて、なんていいやつなんだ。

帰りにヒョサンくんがパン屋へ寄ると言う。「なんで」と聞いたら、マサミツさんにナイショでケーキを買うんだ、とのこと。
おお、ヒョサン! キミもなんていいやつなんだ!!僕もそれに乗っからせてくれ、と二人でパン屋へ。
韓国にも最近オシャレなパン屋さんが増えているのだが、宿に帰る途中にもそんな店があったのである。

最後の宴会はまた、部屋のテーブルに権現さまを鎮座させての直会である。ちゃんとみなそれぞれお参りをするのだ。おそらくかつて家々を回って門打ちをしていた頃のしきたりをそのまま守り続けているのだろう。早池峰系の神楽は全国から声がかかって芸能団体のように公演をしているが、お客のいないところでは宗教芸能者のスタイルを守り続けているのがわかって感動である。

出てきたケーキにマサミツさん感激してくれた。
赤い粉がかかっているので「唐辛子か?」とみんなで笑う。
南の方でしか売っていないという「生マッコリ」をバスの冷蔵庫に入れて運んできたので、またまたマッコリで乾杯。ヒョサンくんの仕切りで楽しい夜になった。

今回の通訳のキム・ヒョサンくんについてはあらためて書きたいと思っている。
とても能力が高く、人柄も良い。
日本で働きたいと望んでいるので、こんど詳しく紹介します。