多摩美術大学

micabox2009-05-22

今芸術人類学研究所の動きが面白い。中沢新一所長ならではの柔らかい発想のシンポジウムや研究会などがいろいろ始まった。
そしてその会場がキャンパスを離れて四谷にある「四谷ひろば」という旧四谷第四小学校跡地を再利用する施設を使い始めたというのも面白い。
ここにCCAAアートプラザというNPOが入っていて、そこと連動していろいろな動きが始まっているのだ。
http://www.tamabi.ac.jp/iaa/toptopic/
http://www009.upp.so-net.ne.jp/ccaa/index.html

16日は研究所員の鶴岡真弓さんの『阿修羅のジュエリー』の出版記念シンポジウムで、会場は元の教室。最近の大学の教室は立派だが、こういう懐かしい空間は妙に落ち着く。
鶴岡さんの話も独演会になっていってとても楽しかった。
アクセサリーとジュエリーの違い、ジュエリーの語源あたりの話しが特に印象的だったが、ここでそれを紹介すると長くなるのでパス。

ゲストパネリストの人気星占い研究家の鏡リュウジ氏は話しの中味と共にその声の良さも印象的だった。
声と話し方にはまったく人格が良く現れるものである。

終わった後は地下の図工室で懇親会。今も工作教室みたいな感じで使っているので道具や材料が並ぶ。そんな中でケータリングの食事に舌鼓。ホームパーティー専門シェフを呼ぶところなんかもキャンパスだとなかなか出来ないだろう。
小学校だったので椅子が小さくて低かったりするが、それもまたご愛嬌である。

22日は芸術人類学研究所が新しく始めた、「バイロジックbi-logic研究会」の第一回の研究会。
どんな研究会かというと、
「宇宙の生み出した人間の心とその創造性について、諸科学の探究を踏まえた根本的な視点の転回が迫られています。バイロジックbi-logic研究会は、現生人類の「心」を中心に据えながら、そうした諸科学の知見を総合し、21世紀の世界に新しい価値と視点をもたらそうとする、意欲的な研究発表のための場所となることを目指します。この研究会は人間と自然、心と宇宙の本質に関わるあらゆる事象を、研究のテーマとします。その成果は開所4年目を迎える芸術人類学研究所(IAA)の活動、また広く社会へと開かれた新しいタイプの講座組織=《くくのち学舎》の実践と共鳴・連動して発表されます。学問の中心に大胆な創造性と冒険心を呼び戻し、芸術作品の創造に比すべきひらめきを手に入れるための、切磋琢磨の場面となることを目標とします。」
ということで、学問とは縁遠かったし芸術家でもない僕が顔を出すのもこそばゆいのだが、そんな僕が顔を出せる研究会なんだから、かなり開かれたものであることはたしかだ。

2009年度のテーマが「芸術的創造の基盤としての神話思考」
そして第一回のテーマが「芸術的創造の源泉」。

コンテンツが
発表1:文化人類学解放講座「文化人類学者になりそこねた表現者たち」
発表者:小田マサノリ/イルコモンズ
(元・現代美術家アナーキスト人類学、音楽活動家、映像作家、文筆家、東京外国語
大学アジア・アフリカ言語文化研究所特任研究員、中央大学文学部兼任講師)

発表2:「表現するからだ」  ケニアの初等聾学校の子どもたちの活動を事例に
発表者:古川優貴(一橋大学大学院社会学研究科博士課程)

というものだった。
小田氏の発表はいつもの授業の第一回目を駆け足で、というものでYouTubeにアップした動画などを駆使しながらのパフォーマンスが面白かった。
古川氏は耳の聞こえない(少し聞こえる子もいる)子どもたちが、ドラムの音に合わせてダンスをする場面などを紹介して、その体の動きの発生を探るものだった。これを見たあとの「ダンスコンテストでの「合わせようとする」動きより、日常の中で自然に同調したダンスのほうがグルーヴ、ヴァイブがある」という発言で、「グルーヴ」「ヴァイブ」という言葉がキーワードになりそうだったのが印象的だった。

終わってから希望者が集まって近くの店で「打ち上げ」。席の関係で発表者の二人とは話しをする時間がなかったが、ビジュアル・フォークロアのK氏やダンサーのK氏、武蔵美のN氏などと初対面の人といろいろ話が出来て楽しかった。近くには親しい涼音堂の星くんやアルテスの鈴木氏もいたし。
http://www.ryoondo-tea.jp/home.html
http://www.artespublishing.com/
芸術人類学研究所もこれからグルーヴィーになっていきそうである。