@多摩美

大学院の芸術学専攻企画講義として小沢さんの「芸能とわたし」という特別講義があると聞き、かけつけた。
聴講自由なので院生でも学生でなくても入れるのである。
橋本の駅前でバスを待ってたら、同じくこの講義のために来た一般の人に声をかけられる。
山田せつ子さんの「枇杷系」で神楽VJをやったときに見に来てくれたらしい。また、伊勢の「おひらきまつり」に来たことがあるという人もいた。

小沢さんはこの7月に浅草の木馬亭でも猿舞座公演のゲストとして出演したのを見たのが「初ナマ小沢」だったが、こんなにはやく「再見」出来るとは。

会場は300人以上入るレクチャーホールだったが、あまり入りは良くない。もっと宣伝すれば良かったのになあ。
サイトの案内にはいつもの「入場無料、先着順。満席の場合は入場をお断りする場合がございます。予めご了承ください。」というのがあったので、あわてて駆けつけたのだが。

お話は子供の頃の寄席通いのことからはじまり、横ずれ縦ずれしつつ「小沢昭一的世界」が展開されて面白かった。
子供の頃住んでいた蒲田にはまだ寄席があって、そのビラが町中に貼られていたのだが、「ビラ下」という貼ってくれた店のためのサービスチケットがビラの下の隅に三角にあり、小沢さんはそれをブリキ屋さんからもらったりして入り浸っていたのだそうだ。「落語のおかげで小学校を出るまでに吉原のことはすべて理解していました。友達の性教育は僕がしました。」と。

お話は予定を大幅に超過して二時間以上になり、そのあとの中沢新一教授との対談を含めると3時間近いものになった。最初はフラフラと歩くような「演技」をしていたが終わったあとの足取りの軽いこと。
あと半年で80才を迎えるとは思えない「脳力」と「体力」だった。
ただ「もう女性にはまったく興味がなくなりました」と言っていたのは淋しい。ウソでもいいから最前列の女子学生でも口説いてほしかった。
ま、でも自分も同じようなものだからなあ。無理して「現役」のフリしているようなもんです。

いい枯れ方で素敵な小沢昭一さんでした。