猿舞座と雑芸団と小沢昭一さん

@浅草・木馬亭
浅草雑芸団の上島さんの企画で「猿回し・復活」の再検証と跡継ぎデビューのお祝いをしようというイベントがあった。
二年前隠岐のドサ回りに誘われて一緒に旅をした猿舞座の村崎修二さんが、30年前に猿回しを復活させた当事者として最後のひとりになっているために、話を聞いておきたいということと、二年前の隠岐ではまだ小猿をならしている段階だった跡継ぎの長男、耕平君が去年デビューを果たして、立派な猿回しになっているところを披露したいという主旨である。
雑芸団のメンバーによる大道芸の前座のあと、村崎修二さんが登場。猿回しの復活を担うことになったいきさつなどを、ギターの弾き語りを交えて語る。
修二さんはフォークシンガーになりたかったのだが、宮本常一さんに「是非猿回しを復活させてくれ」と口説かれてこの道に入って「しまった」のである。
二日目にゲスト出演予定の高石ともやさんも出てきて共演も。
そして戦後消えてしまった猿回しを覚えている人がまだいることを「日本の放浪芸」の調査中に発見(それが村崎家だった)した張本人、小沢昭一さんが登場。ナマ小沢を拝顔するのは初めてなので感動。
そして、かつて末広亭を連日満員にしたというエピソードがある小沢さんの話がジツに面白いかった!!

そして休憩後にいよいよ村崎耕平君と夏水(なつみ)の猿回し。デビューしてから初めて見るが、すでにこの一年で150回はこなしたという耕平君の芸はすっかり板についていて見事なものになっていた。もともと役者志望だっただけに話芸も上手い。
二年前はまだちっちゃな小猿だった夏水も4才になり、かわいい盛りである。夜で、しかも舞台の上という悪条件でもなんとか芸をしていた。
喝采のうちに芸が終わり、客席を回る投げ銭のザルにはお札が入る入る。
小沢昭一さんがプラスチックのゴミ箱のようなものを持って飛び入りで客席へ出てきたのでみんな大喜び。僕も小沢さんに入れた。

終演後、知り合いみんなで近くの居酒屋へ。本橋成一さん、山田和也さんなど別々のルートで知り合った人たちが一緒にいるのも縁の深さを感じる。

二年前、僕が大道芸デビューをした隠岐巡業は語りぐさで「あんな大変な旅はなかった」と上島さんや村崎さんたちは今でも言う。
飲んでいたら耕平君から「隠岐の戦友に感謝」というメールが届いた。