18日から19日にかけて

micabox2006-11-19

夜通しで行われた大元神楽を見てきた。大元神楽は石見地方の式年の神楽で、今回行った江津市桜江町市山の飯尾山八幡宮の神楽は七年に一回(実際は6年に一回)のものである。
詳しくは、
http://kaguranosato.rainy.jp/kagura/k_index.html
他の地区でも大元神楽が行われているが、ここのものが一番ていねいにやられているらしい。

式年の大元神楽の特徴はなんと言っても「神懸かり」である。明治維新後、政府から神懸かりが禁止され日本各地で神懸かりが消えていったなかで、中国地方山間部に何カ所か残していたところがあり、大元神楽はその代表的な存在である。今では備中や比婆などではなくなったところが多いのでほんとに「最後の神懸かり神楽」という存在だ。
午後7時頃から神事が始まり、神楽がスタート。いくつもの太鼓が舞殿に並べて行われた「打ち始め神事的」な「太鼓口」という演目でのっけからヤラれた。かっこいい。
6-7人で神歌をうたいながら太鼓を叩くのだが、一人ずつ交代で立ち上がって舞うのだ。それもまるで神がかったみたいなトランスっぽい感じで。
このような神事的な演目から始まり、毎年の神楽でも行われる「能舞」〜面を着けた演劇的な舞の演目〜を交えながらクライマックスの神懸かりを迎える。
神懸かりのために選ばれたメンバーは「託太夫」と呼ばれ、三人いた。この三人は何日も前から精進潔斎し、水垢離などをして心身を極限の状態に追い込んで神懸かりの準備をしているということだ。
朝になっていよいよ神懸かりの演目「六所舞」となる。この後半に託太夫を取り囲み激しく動かして神懸かりを促す。客席にもなだれ込みそうな勢いである。一人目の託太夫は目もうつろで息も荒く、かなり「イキそう」な感じだったが結局神がかりせず二人目へ。
二人目はかなりあっさりと「神懸か」ってしまった。
そしてその暴れる託太夫を大勢で押さえ、神託を聞く。
昔はかなりいろいろと質問をして、神託もいろいろあったようだが今回は作柄の質問ひとつで、簡単に大元様には帰っていただいたようだ。もう少し聞いて欲しかったが、託太夫の状態にもよるのだろう。
神がかった様子を見る限り(見にくかったが)演技には見えなかったので、この目で日本のシャマニズムが確認できて良かった。アイヌの神懸かりは以前に見ているので、これでなんか安心した気分になったのである。