晋州仮面劇フェスティバル2日目

朝8時半にチョン先生と待ち合わせて「ヨナ食堂」へ。ここはこの数年神楽の人たちが朝食を食べた店で、辛いのが苦手な人のためにオモニが辛くないものを特別に作ってくれたりして、とても親切な店。今回は三人だったがぼくの顔は覚えていてくれた。
普段朝食は食べない風習を持つぼくだけど、韓国では食べられるときは食べます。だっておいしいから。

そして慶尚大学へ移動。10時からチョン先生の教室でぼくの「神楽説明会」。去年、一昨年とやらなかったので、内容はあらためて神楽の基本的なプロセスを各地の映像を見てもらいながら解説。今回は浮葉さんが急遽通訳を買ってでてくれたのでやりやすかった。名古屋大学の教授に通訳してもらうなんて恐縮だけど、民俗芸能知っているのといないのでは全く違うからね。
二人で組んで韓国VJツアーしたいなー。韓国の人に知ってもらいたいし、きっと神楽の祝祭性を喜んでもらえると思う。

韓国の民俗芸能関係者からの質問は、「本で読んだのだけど」ということでの質問がよくあるんだけど、どうも神楽についてのことが翻訳された部分が不正確のようで、変な質問も多い。
何年か前に会った、かつて早稲田に留学したという研究者は「神楽は被差別民の復讐の芸能で、それゆえ神楽の面は非対称の表情である」と言っていた。たしかに芸能を担っていたのは賤民だったから今でもそういうのもどこかにあるかもしれないけど、あったとしても異端の部類だよね。彼に教えた早稲田の先生って誰だったんだろう。

昼食は大学近くの食堂でピピムネンミョン。韓国に来たら必ず食べたいメニューなので早めにクリアできて嬉しい。学生が来るせいだろうか量が多くてびっくり。ソウルあたりの専門店の3倍はあるのではなかろうか。

そのあと宿に帰って休憩をとったあと、会場へ。ぼくが行き始めた頃は15時くらいからプログラムが始まったけど、晴れてると日差しが強く暑いし、この日は19時スタートだった。まあ、予算の関係でたくさんの芸能を呼ぶことが出来ないということもあるのだろうけど。
18時過ぎに会場近くの、いつも関係者が食事をする店へ。今回はぼくと浮葉さんの分の食券をもらっていたので、都合のいい時に行ける。
ここのコムタンは美味しい。辛くないのはぼくとしては珍しいけどたまにはね。辛い方のクッパを頼んだ浮葉さんも美味しいと言っていた。

そして会場で始まったのが、ソウルの北のあたりから来た仮面劇。けっこう有名らしい。仮面劇は終わったあとにお客さんに踊りを教えていました。伝承ですね。

その後は「農楽」。サムルノリもこの農楽の要素を発展させた芸能だけど、名前を付けたのは日本人らしい。というか日本統治時代に「雅楽」に対して「農楽」という名前にしたみたい。もともとは「プンムル」などと呼ばれていたので、現在はそのように呼ぶ傾向にあるようだ。全羅北道から来たグループでここにはSNSでも共通の友だちが多い神野知恵さんがメンバーに入っていました。
「農楽」につきものの「農者天下之大本」という旗は、今のTPPに反対している農家にも掲げてほしいですね。


「プンムル」のあとは創作演劇がありました。ここで行われる創作演劇は伝統芸能の要素を生かした作品がいつも呼ばれています。これについてはまた改めてかけたら書きたい。
やっている人たちは若手劇団で、日本で演劇をやっている人たちとほぼ同じ動機で演劇をしているのだろうけど、民俗芸能の要素を取り入れているところって日本にあるのかしら。社会風刺の要素が強いところも伝統を引き継いでます。言葉がわからなくても面白かった。時々隣の浮葉さんが解説してくれたしw

終演後夜食に「ピョンヤンピンデトク」と思って店に行ったら「もうおしまい」と。まだ11時過ぎなのにい。これは今回行くのは無理か? 近くの店も軒並み閉まっていて24時間営業の店で「ソルロンタン」と餃子みたいな「饅頭」。浮葉さんが一緒だとほんとに安心。助かります。