ラジオフォーラム2013/3/16 ゲスト森達也

 久しぶりですが、永岡さんの書き起こしを貼り付けました。

 永岡です、ラジオフォーラム第10回放送、放送作家の石井彰さんの司会で放送されました。今回、新たに3局が放送に加わりました。石井さん女川災害FMに行かれて、小さなプレハブの中で若い人がスタッフとしてやっており、石巻、南三陸気仙沼を石井さん見られて、何も復旧していない、瓦礫を片付けた後は荒野。大変な災害だと伝えたいのに、早く忘れたいとの現実もあり、ビルの上に乗ったバスも撤去され、とんでもない災害との痕跡がなくなり、聞く場所もない。南三陸の仮設庁舎もそのままで、しかしそこへ行くと大変とわかる。原爆ドームがなければ原爆の悲惨さを伝えられない、残せるものは残したほうがいいと石井さん言われました。
 今日のゲストは作家・映画監督の森達也さんです。森さん、10年ぶりのドキュメンタリーがDVDになりました。被災地へ森さんが行ったのは、震災後引きこもりになり、1日中テレビの前にいて、3・11は共同監督であり、現場に行かないかとなり、一旦断ったものの、違う回路が生まれるかも知れないと奮い立たせて被災地に行き、映画を作り、編集して作成したのです。被災地では、どこかのメディアとタイアップしているのではなく、カメラと取材して、聞いて何になる、自分のポジションが分からず、他のメディアもそうで、取材を呆然として、それが作品のテーマになると言われました。

 ニュースのたね、最近のニュースで気になるのは死刑問題、3人執行され、森さんは死刑廃止ではなく、死刑という本も死刑囚にあって書き、角川文庫で4月に出るのです。安倍政権初の死刑執行があり、一方死刑判決も多く、森さん、死刑制度の問題は、人を殺してはいけないことを知らしめるために人を殺すこと、防衛論で、素朴な部分、変である。国民の多くは死刑の実態が公開されず、風土で死刑を残したいとなり、その根っこは何かと言うと、死刑制度があるから抑止効果になるということ、現状、世界2/3の国は死刑を廃止し、それで犯罪は増えていない。死刑制度が犯罪を抑止する効果、社会学レベルでは変数にはならない。これ以上殺したら死刑になるという意識もなく、理意識を失っての犯罪で、死刑があるから人を殺す、死刑になりたいので人を殺すことが多く、死刑制度のために殺人が増えていると森さんは言われました。森さんが遺族の立場に立っていないという批判もあり、殺した相手を殺したい、厳罰に処すという遺族の感情もあり、谷垣氏、身勝手な事件といい、判決文も処罰感情を入れて、自分の家族が殺されたら死刑にしてくれと言う
かも知れない。あえて、考えたら死刑にしてほしい、自分で殺したいとなるが、刑事裁判でないがしろにされてきた、傍聴すら出来ないのも変えるべき。遺族の気持ちを国民全部が共有できない。遺族は自分を責める、処罰感情で死刑にしろとなったら、遺族が犯人を恨むのは当たり前、当事者と非当事者により社会は成り立ち、被災地で痕跡を残すこと、原爆ドームアウシュヴィッツ、非当事者だから残せると森さん言われました。この件、死刑制度へのリスナーの意見も聞きたいと石井さん言われました。

 小出先生のお話、森さんとのお話を楽しみにされました。

 経産省、エネルギー有識者会議の委員15人,脱原発は2人しかなく、安倍政権は再稼動に動いている気配のあること、「気配どころか再稼動と宣言した」と小出先生言われて、「日本は原発推進の法律があり、これを何とかしないといけない」のです。1954年か1955年、原子力基本法、平和目的に限るというものの、原子力を進めることが書かれていたのです。なら、原発を無くすなら、これを無くさないといけない。原子力委員会も最初に作られて、東大の近藤氏が委員長、近藤氏、原子力基本法で仕事をしており、原発に反対=法律に違反と言うのです。原子力基本法がある限り、推進しないといけない。開発の計画、エネルギーの全体像でも原子力をやる中でのものであり、原発推進になるのです。

 今回のメンバー、自民色が強まり、民主で少し弱まったものの、原子力推進の路線が強まってしまったのです。脱原発2人vs推進13人、議論は出来るが、最後は数で決まり、結論は決まっているのです。

 森さん、忌野清四郎さんの反原発ソング、原発なしでも電気は足りると歌って発売中止で(永岡注:88年のこと、素晴らしすぎて発売できないという広告が出ました)、その時点で原発は27基、今50基。しかし今は大半止まり、去年の記録的な暑さ、今年の寒さでも電力供給に問題なし、小出先生、政府の統計データで、原発は要らないと言われました。原発は必要ないといえるのに、日本の国家は原発なしだと停電すると脅しており、多くの人が屈服したのです。しかし、暖房、冷房をこれだけ使っても問題なし、「大飯なしで支障なしとデータはわかっている」のです。供給面なら原発は要らないのです。国家は原発をやり、巨大企業が来て、マスコミも原発はいいものだと宣伝して、国民がだまされたのも無理はないと小出先生言われましたが、だまされた人にも責任があるのです。森さん、小出先生のお話を聞いて、いつの間にか刷り込まれていると言われて、忌野清四郎さんの歌のときも電気は足りていた、森さん知っていて気にしなかった、我々の責任と言われました。

 話のたね、森さん、A、A2、オウムを扱った書籍で刺激を与えられ、石井さんはメディアのカナリア森達也と言われて、炭鉱でカナリアが警告を言うのに、メディアで窮屈になったこと。このオウムを撮ること、フリーランスもオウムを撮らないといけない(メディアはオウム一色)、これは当たり前のこと、他の人がなぜ書かなかったか、なのです。

 オウムを取材して、何を食べて、何を考えているか、取材した人は森さん以外になかった。テレビの企画でやろうとしても、オウムを絶対悪にしていないとして2日で撮影中止。デジタルカメラが出始めて、これで撮れるとなり、休日に撮ったもの、上層部に知られて切られた。なぜ、みんな撮らないのかであり、森さんが俊敏なのではなく、みんな右に行ったためなのです。AはオウムのA、物事の始まりのA、意味づけしたくなかった。
 オウムの生活を撮り、一般の人と同じであり、自分たちと変わらないと映画を観て言うが、マスコミを見たら自分たちと違うと思い込んでしまうのです。そこから物事を考えないと、自分たちと違うとしたら、自分も犯罪に加担する可能性があり、それは認めたくない。当時のメディアは凶悪殺人集団、洗脳された集団、異質な個人との意識をメディアに持たされて、日本の意識が95年以降変わったのです。しかし、普通の人間が無差別テロをすることは、A3に森さん書いて、宗教は死と生を展開してしまい、宗教と戦争は相性がいい。オウムの中、共同体の中のダイナミズムが暴走したと言われました。森さん、一審のみで刑の確定した麻原氏に治療を受けさせるべきと主張し、最後の法定を傍聴して、麻原に意識がない。控訴も出来ない。メディアも、社会も死刑を後押しした。戦後最大の犯罪が一審だけで決まって良いわけはないのに、メディアもそれに言及しない。法廷は罪を裁くのだけでなく、2度とそんなことが起こらないようにする場であり、麻原がなぜサリンを撒けと言ったのか?車の中で、強制捜査を攪乱するためと言うものの、井上被告が否定しており
、動機がない。真実は解明されないのです。麻原は極刑を逃れるために精神錯乱を装うとメディアは言われているが、一審からこの状態で、10何年誰とも喋っていない。心神喪失であり、森さん判決公判で判断能力なし。精神鑑定をやり治療させてから裁判をするのが近代司法、それなのにメディアと司法がこうしてしまった。心神喪失なら処刑できない。憲法上処刑できない。本人にその意識がなければ罰にならないが、その機能も麻原にない。処刑したら恥ずべきことだと森さん言われました。集団に異を唱えるものにバッシングする風潮に森さん危惧をされました。

 音楽のたね、森さんの放送禁止歌にちなんで、イムジン川を選ばれました。放送されたのはザ・フォーククルセーズによる、朝鮮語によるオリジナルのヴァージョンと日本語の加わったヴァージョンでした。

 ラジオのたね、朝鮮学校ええじゃないか、春のモア・パレードを主催する黄貴勲(ファン・キ・フン)さんのお話がありました。3月24日に大阪・扇町公園(JR環状線で大阪から東へ1駅、天満駅を降りてすぐ、地下鉄堺筋線扇町駅すぐ、梅田から歩いて15分)で行われるイベントで、黄さん、このイベントの目的、2010年度から日本政府の高校無償化を始めて、朝鮮学校は除外され、助成金カットもされた。その差別的な状況で、より多くの人が声を上げ、町に出て主張するイベントなのです。黄さん、残念、なぜそうなるのか。地方自治体も朝鮮学校への補助金をやめ、拉致問題のグッズを配ることについて、黄さん、危険な状況にある。北朝鮮への人間の感情で人権が侵害されるのに危惧をもたれるのです。石井さん、ある新聞の投書欄に、税金を拉致をしている学校に補助をすることに反対の意見が、31歳の女性の意見であり、黄さん、北朝鮮と関係が深い学生、教員がいても、だからその人たちの人権がないがしろにされてはいけない。国家の犯罪行為があっても、権利が侵害される理由にはならないのです。

 石井さん、国の問題と、人々の問題は明確に分けるべきと言われて、黄さん、現実を見るためには、ひとつは知ること、朝鮮学校に足を運び、しっかり知るのが大事、知らせるのが大事。また人として生まれた人の権利、自由、平等を、他の人、国の行動により、奪うことはできないとの認識がいると言われました。森さん、大人になろう、今始まったとではない、拉致発覚より人道支援はなくなり、困るのは北朝鮮の一般市民、この人たちを切り捨てるのは良くない、北朝鮮を崩壊させるのではなく、人の生き死にと違うのです。

 黄さん、朝鮮学校の実態を知るため、24日14時から、扇町公園で、楽器演奏、パレードがあるのです。

 24日のイベントに関しては、以下のブログに詳細があります。 http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/9616e8cd33105e03cce2810e6660dc42 http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiapppeal/archives/23695072.html  森さん、オウム、高校無償化、3・11のテーマを自由に喋れてよかったと言われました。今週も充実したお話でした。

来週は、関西が見えて来るをテーマに、石丸次郎さんの司会で放送されます。