4日の「お神楽ナイト」報告とMBS「報道するラジオ」

 4日の「お神楽ナイト」@ポレポレ坐のテーマは「神楽とエロス」。時々やっているけれど、神楽の中に見られる性的な要素をあれこれ取り出す特集。
 大まかな流れは、
1.縄文時代の石棒の写真や道端や神社で見かける陰陽石など紹介して、縄文からの性信仰をまず要素のひとつとして提示。
2.弥生に入り、稲作と共に伝わったとされる田遊びの中に見られる生殖儀礼を次の要素に、板橋の田遊びの映像で紹介。
3.映像を紹介できなかったけど、奈良時代に入ってきた伎楽や、そのあと入ってきた散楽にはかなり猥雑な要素が入っていたらしい、という話題を紹介。特に散楽は今のお笑いと同じように物真似や下ネタで笑いをとっていたはず。
4.そして田遊びの男女の抱擁と同様のものが見られる男女がからむ神楽の一場面をいくつか紹介。
5.そして、下ネタの宝庫(笑)宮崎へ。陰陽を教えると言われる銀鏡神楽の「室の神」や、村所神楽の「部屋の神」から、東米良の「ばんぜき」シリーズへ。ほとんどこのあたりは「男根露出もの」これが祭でなければ現代ではセクハラ扱いだろうというもので最後は諸塚へ飛び、南川神楽の歳の神の最近の特別版と長老による古式版を紹介。
6.そして神楽ではないが神楽的内容も含み、民俗芸能てんこもりの「新野の雪祭り」へ。ここではもう持論を展開。「『松明起こし』は勃起である」「松明に火をつける『大松明』は射精である」みたいな(笑)。十分に擦った棒で女性の顔を撫でていく『ホッチョウ』はあるし、子供に爺と婆のまぐわいをやらせて、おじいたちがからかう『神婆』、そして最後の『田遊び』の唱えごとはセックスを想像させる部分が次々と出て来て、周りの衆が「やいやい…」と喜んで突っ込む。

 アメノウズメが裸になって踊って神々が面白がったという神話もあるわけで、結局神楽は基本的に「面白い」という要素が必要で、なにが面白いといえばやはり「下ネタ」なんでしょう。
 ここですでに2時間半経過。ミニライブはどうしようかと思ったが、22時過ぎてもお客さんが残ってくれたので30分ほど。今回は太鼓のチューニングがうまくいって気持ち良かった。声も出ました。

 さて、ポレポレ坐での次は3ヶ月後くらいかな。テーマはどうしようか。ま、近くなったら考えましょう(笑)。声がかかればどこでもやります。

そして、以下はMBSラジオの新番組「報道するラジオ」の永岡さんの書き起こしが送られてきたので、かなり長いですが貼り付けます。実は「たね蒔きジャーナル」の後も毎日書き起こしが送られてきているのですが、貼り付けをノルマとするのはやめたので、貼り付けない日もあることをご諒解下さい。(三上)

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 永岡です、毎日放送ラジオの新番組「報道するラジオ」、今日から始まりました。水野晶子さんの司会、毎日新聞ほっと兵庫編集長平野幸夫さんの案内で放送されました。水野さん、この前にやっている弁護士の放課後、ほな行こか、もやっておられます。

 ひっかかる、その裏側に徹底的にこだわるというテーマで、「報道」にこだわり、テレビや新聞で大きく扱われないニュースに重大なことがあり、その中から取材して報道するのです。平野さん、活字メディアで来た人で、メディア批判、ニュースのショー化が批判され、求められる報道の質が求められ、第1報のニュースの持つ意味を解きほぐす、論評、解説、提言の機能が求められ、放送、ラジオはじっくり伝えることが出来、そういう機能が果たせたらいいと言われました。

 リスナーの声も求めており、日ごろどこにニュースが潜んでいるかを求め、hou@mbs1179.comで伝えられます。

 特集テーマは2つあり、今日は2つ目に上田さんの原発作業員インタビュー、リスナーから期待のメールも来ています。

 一つ目のお話はジャーナリズムの世界に来た、法政大学教授の水島宏明さんのお話がまずあり、ドキュメンタリーを日本テレビで作られた方なのです。 日本テレビを辞めた理由は、去年の3・11震災、原発事故でテレビ報道をしていた自分への無力感があり、原発報道で、ドキュメンタリーをやってきて、指針に穴のあったことは事故の前はノーマークで、原発というテーマを回避して来て、さらに貧困の問題も取り上げていたのです。この番組のプロデューサーも、貧困について取材するといつもいる人がいて、デジカメを片手にていねいな取材をしており、それが水島さんなのです。現場にいることは水島さんこだわり、昨今の現場で取材に出るのが難しくなり、このままではダメと伝えるため、卵から教えたいと、この立場になったのです。現場を見ずに記事を書く記者も増えて、原発報道をやれと言われて、親会社の新聞の社論にあった原発推進の記事をやれと言われて、しかしジャーナリズムとして、サラリーマンとしてのたがをはめられるのは嫌で、会社を辞めたのです。

 日本テレビ、事故直後にドキュメンタリーを作り、平野さんも見て評価され、親会社云々ではなかったと言われたものの、作る前に会議があり、そういう方向で作れとなり、しかし世の中は原発容認で済むものではなく、その縛りが来るものではなかったのです。会社の中での環境が許されないのです。

 ジャーナリストなのか、サラリーマンなのかという問いかけもリスナーよりあり、水島さん、サラリーマンである前にジャーナリストで、マスコミで働くものはみなそうあるべきで、会社のトップがなくなり、上司が出世のために親会社の顔色を伺ったと思われるが、視聴者には関係ないことで、民主主義のもとになる機能が要り、内輪の理屈で捻じ曲げてはいけないのです。

 それで会社を離れて、若い人に伝えたいメッセージ、若い人が現場を見なくなり、現場の当事者の話を聞いて、事実はどう動くのか。福島の除染も現場を見ないと分からない、環境省記者クラブを聞いても分からない。3・11の1年特番も精神的なもので、具体的なものがなく、しかし会議であれは良かったと内部でいい、客観的にジャーナリズムの役割を果たしたか検証していないと水島さん言われたのです。こういう話を水島さんがして、若い人が変わったかについて、こそこそ来て一言喋るのみであり、青臭いジャーナリズムの話を堂々とする時代ではなくなったのかと言われました。

 平野さん、放送は視聴率競争に過度にさらされていると言われて、ワイドショー化と平野さん言われたこと、テレビの問題点について、外向きの話、冷静な、視聴者を考えさせるものをしていない。生活保護バッシングも、水島さん生活保護の取材もして、その目で見ると不正確な報道を、テレ朝、TBSのキャスターがもらい得とか、誤った報道に基づき論じ、最初の河本さんのことも法的には問題ないのに、延々不正受給の問題をやり、受給者が酒を飲むとかの話になり(これは克服困難)、感情点を煽り、しかし本当はもらえる人がもらえていないのに、不正受給の問題のみを大きくすることをやっていたのです。

 水島さん今後も出られる予定です。リスナーの意見もあり、放送が報道機関ではなく広告媒体になっているとの指摘もあり、平野さん、放送会社の中でジャーナリストがどうあるべきか問われていると言われました。会社の中でジャーナリストが全うできなくなり、社会正義を追求する資質があるのに、そのため献身的に働かないといけないのに、利益至上主義で全うできないと言われました(ちなみに、生活保護費の見直しが来年で、削減の方向なのです)。

 そして、「原発作業員、その後」であり、多くの作業員が過酷な環境で働いており、その実態、作業員に何が起こっているのか、上田崇順さんの、9月いわき市での取材で、毎日3000人働き、23700人の人が福島原発に入ったのです。作業員の宿を訪ねて、ガムテープでダンボールを止めて、宿の引越し作業をしており、9月の終わりに作業員の多くが出ようとして、なぜ宿舎を引き払うのかについて、9月になり、急遽自分たちの会社からメールがあり、9月一杯で宿代が出なくなり、帰ってくれと言うのです。元請より、宿代は出ない、やりたいならアパートを借りてやってくれと言われたのです。

 自分たちで家を見つけてやれとなり、別の作業員に聞くと、衣食住の食・住がなくなり、1泊5000円なら1ヶ月15万円がなくなった、大変なことなのです。これは払えないのです。単身の人はアパートを引き払いここに来ている、帰るところもないのです。家族のある人は宿代があるから来たので、作業員の給与は1日7000〜12000円と安く、5〜7次請けの人で、中間搾取で抜かれて日当が下がり、東電は一人70000円払うのに、ひどいと20次請け、93%ピンハネされるのです。だから、1ヶ月働いても20万円、自炊しないといけないならやっていけないのです。

 宿代がなくなった理由は、10月に新しい仕事に変わり、安い賃金でやらないといけなくなり、1次は宿代も払えなくなったのです。当初は緊急で東電の指名により仕事になり、それが昨年夏から入札になり、10月からの落札価格が下がったのです。東電は入札価格は調査をするといい、元請は不当なことはしていないといい、競争原理で下がったわけで、平野さん、行政を調査して、労働条件、基準局を監視しないといけないと言われました。それが機能していない、20次下請けは労基法違反になる。雇用条件が守られず、摘発しないといけないのです。

 その福島原発、1年半すさまじい作業をしており、二人の作業員、建屋の人間、あそこに走って行ってレバーを降ろす、放射能が高いのでみんなで出来ず、水を止める下準備、線量が高く人がいられない、進捗が遅いのです(3月の話)。野田総理の収束宣言について、現場にいる人間は収束しているのか?何も変わりはない、現場も変わっていない、何を以って収束なのか、改善にも進まないのです。今日も放射能は出続け、作業員は被爆しているのです。

 9月の模様、免震棟は多少線量は下がっているものの、汚染水の仕事は最初と線量は変わっておらず、15分で0.5ミリシーベルト、1ヶ月持たないのです。1ヶ月で帰って、また入れ替わりなのです。一般の人は1ミリ、作業員でも20ミリが限度という状況で、平野さん、健康障害が気になり、気の遠くなる作業で、労働者が確保できるのかと言われました。それなのに労働条件は悪くなっているのです。

 その、宿代がなくなるだけではなく、4月から、2000円下がり痛い。下請けの下で、強く言えないのです。7月から賃金が2000円/1日下げるといわれた人もいて、東電から支払われる金額が下がっているのです。いいところ、良い会社は会社がかぶるものの、大抵は作業員が下げられるのです。線量が下がった、燃料棒が片付いたのではないのに、賃下げは理解できない、東電が苦しく、東電から出るお金が減っているということなのです。使命感を得て福島に来ているのに、大変なのです。

 作業員も、東電は使い捨てにしていると考えていると言い、電気代は値上げする、ボーナスは出るのに、宿代がでないことに怒りを感じると言うのです。賃金は上がる話だったのに、いきなり下げる話になったのです。下の都合を考えていない、こんなことで先に進むのか、収束できるのか、なのです。

 次の仕事もないのに、この東電の仕打ちはないのです。

 この作業を見てきたのは福島の人であり、そういう声、お店の方の声で、馴染みの客が去るのはさびしい。よく作業員はやってくれた、電話で家族と話すのを見て、嬉しそうであり、早く原発を直して自宅に戻してあげたかった。福島のために、子供のために、自分がやらないと誰がやるという気持ちの人もあり、妻に止められても福島を助けると来た人も何人かいたのです。作業員もお金をもらわずに被爆する、帰るのも仕方ないが、燃料棒のことを誰も見ていない、福島では覚悟を持って暮らしているが、心底安心だから福島に来てくれと言えない。人がいなくなるのは大変なのです。東電も国も考えて欲しいのです。作業員を手厚くして欲しいのです。

 上田さん、作業員のことはマスコミに出ず、こういう人に支えられるしか、日本に、世界に道はないのです。「私ら使い捨てです」という作業員の声は深刻で、これを上田さんに話してどうなると、絶望の声もあるのです。

 これを報道するラジオで報じることが出来て、これからどうするべきか、出口の見えない話なのです。平野さん、7日に首相が原発に行くが、こういう現実を見る気があるのか、セレモニーで終われば意味がないと言われました。

 上田さん、また取材されるとのことです。

 浜岡原発の是非を問う住民投票条例は、全会一致で否決されました。自民党、18歳以上とする条例はダメとなり、非自民系の議員は修正案を出すものの、自民系は投票に否定的で、本会議でも否決の模様です。知事でも賛成なのに、民主党も意見がまとまっていないのです。

 リスナーのメールもあり、原発の働く人の待遇の悪化はおかしい、何とかならないか、震災の予算をここに使えという意見もありました。現場の過酷さに驚く声もありました。平野さん、上田さんのリポート、足で取材してよく出来ており、ジャーナリズムの、真実は細部に宿るといい、現場には真実の断片がある、現場に真実があり、それをどう指し示すかと言われました。上田さん、水島さん、これを実践されたものです。復興予算が別のところに使われ、沖縄にも流れている、政治はどうなっている、既得権益に流れて事故の過酷さを忘れていると言われました。忘れたようにふるまう政治家があるといけないのです。

 原発の現場がここまでひどいとは私も絶句であり、キーボードを叩く手も震え、そして怒りに感じました。このメール、例により私に無断で、いくらでも広めてください。これを広めることが、福島の作業員を、そして福島を救うのです。この「報道するラジオ」、私の期待以上のものでした。聞いて、本当に良かったです。