早池峰神楽

秋田でレンタカーを借り、秋田道を花巻へ。エコカーがあったので借りたらプリウスだった。
夜泊まる予定の花巻空港近くのホテルにチェックインしてから新花巻駅へ行き、参加者のみなさんと合流。
5人乗りに5名だが、運良く3ナンバーのプリウスだったし、1泊2日のツアーなので荷物も少なく、窮屈な感じにならず助かる。

韓国のテレビ制作会社から頼まれた、東京で仕事をしている韓国人カメラマンも急きょ参加。行き違いでホテルを取っていなかったので早池峰に向かう途中、車を停めてホテルに連絡。パスポートがないと予約を受けられないとかゴチャゴチャ言われたが、結局なんとか予約できた。

こういうプチトラブルが神楽や祭りに行く途中よく起きる。魔が邪魔するかんじ。でもこういうことがあると結果的にいい体験ができる経験を何度もしているので「今回のツアーはきっといいものになりますよ」と、車を再び走らせる。

大迫町のコンビニでおにぎりなど買ってから岳の早池峰神社へ。今回は例大祭が土日と重なったということで人手が多いことは覚悟。着いたのが16時頃なので上の駐車場はいっぱい。でもまだ下の駐車場が空いていた。

実はこの日の朝から右の股関節が「寝違い」「筋違い」みたいな症状になっていて、運転しているうちにどなどん悪化。早池峰神社の参道の階段を上るのも一苦労。痛くないように歩くのが難しかった。

楽殿では弟子神楽の奉納が始まっていて、社務所に入れてもらって見ることにする。外はもうびっしりの人で埋まっていて、入り込むすき間ナシ。カメラマン氏もいろいろアングルを探していたがいいところは取られていたので社務所の中に陣取った。


5時から境内で「茅の輪くぐり」の神事。この時も岳神楽のお囃子がつく。その後の拝殿でも権現舞が舞われたはずだ。僕は足が痛いので社務所でひっくり返ってた(笑)。

そして6時から岳神楽の「鶏舞」から神楽奉納が始まったのだが、小雨が降ってきて、社務所の中もすごい人。体育座り状態になってきて、このままでは股関節がますます悪くなると判断して、途中で駐車場の車に戻り休息。

8時過ぎに神楽殿に戻ったらちょうどご祝儀を出した人の名前を読み上げる「お花のお礼」のタイミングで、ちょうど僕の名前も読み上げられたところだった。社務所では氏子の人たちの直会があったのだが、それも終わって少しスペースが出来ていたので、また後ろの方で休みながら見る。

はじっこで休んでいたら写真を撮っていたロングヘアーの男性に声をかけられる。Twitterでフォローしあっている盛岡のgaiabreathさんだった。かつて関西気功協会の会員だったそうだが初対面だ。彼は治療家ではないそうだが、いろいろヒーリング系や瞑想系のワークショップをしている人で、症状を話したら「疲れ溜まっているからでしょうね。足の長さが違っているかもしれない」ということでちょっと見てもらったら。やはり左が短いとのこと。少し伸ばしてもらっていたんだけど、面白い演目の「諷誦舞」が始まったので「写真撮ってください」と遠慮。
でもだいぶ楽になった。

岳が終わって大償に変わると少し人が減る。ちょうど花巻の別の神社の祭りで奉納をしてから来た石鳩岡神楽の人と再会。もうみんな御神酒が入っていい気分。Sさんからは「どうして三上さん酒飲まないんだ」となんども責められる(笑)。だって運転手なんだもん。でも体調のことを考えるとこの日、運転手で飲まないのは正解である。

それでもワイワイと楽しんでみていたら、突然観客の一人の男が社務所の中に向かって、「これは余興じゃないんだ!!神事なんだから、私語はやめなさい!!外の人たちは静かに見ているのに、中はうるさい!!」と言い出す。
余興じゃないことくらいはわかっているが、日本の祭りはこういうものさ。年に一度久しぶりに会う人もいて、神楽見ながらひととき楽しむのがあったりまえである。
なんか、早池峰神楽ユネスコ文化遺産に登録されたりしたことで、妙な権威主義の連中が見に来るようになったみたい。この男に拍手する客もいて、見るからに都会から来たインテリっぽいシニア世代。PTAみたいなおばさんとか。

石鳩岡神楽のSさんはもう、たっぷり酒が入っているものだから「神楽は酒飲んで見るもんだぞー!!」と叫ぶが、今度は聞く耳持たずでしらんぷり。
僕も飲まなかったけど地元の人の車座に交ざって談笑。盛り上がると時々振り返って「抗議のフリ」をするおばさん数名。しらけるなあ。
gaiabrathさんは「緊張してますね、あの人たちは」と診断。
都会からストレス発散も兼ねて見に来ているのかもしれないけど、鎧を着たままなんだよね、こういう都会人は。
ありがたがって見たいなら、自分たちだけありがたがればいいし、地元の人たちが楽しんでいるというのが理解できていない。

祭りのことも、この列島の本来の文化のことも、先人から伝わっていることも、まるでわからない、せいぜい戦後文化人程度のインテリなのであろう。かわいそうだけど、祭りに水差されたかんじで不快だった。

11時過ぎて大償の権現舞が終わるまで、全演目たっぷり見てホテルに帰ったのが0時半頃。缶ビール一本飲んだが、旨くない(泣)。酒が旨くないとはよほど疲れていたんだなあ。